帝国データバンクがこのほど発表した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」結果によると、2020年度の企業倒産件数は2年ぶりに減少した。新型コロナウイルスの感染拡大により事業環境が一変した半面、コロナ対策融資や給付金などは広く行き渡り、倒産件数抑制に大きく寄与している。ただ、企業の資金繰りが公的支援に支えられる中にあっても、コンプライアンス違反の末に倒産する企業は発生し続けている。
2020年度(2020年4月~2021年3月)のコンプライアンス違反倒産は、182件判明。前年度比で19.1%減少し、2011年(159件)以来、9年ぶりに200件を下回った。個別企業では2019年度以前からコンプライアンス面に問題を抱えていた企業が、新型コロナウイルスの影響を受け倒産に至ったケースも見られた。2020年度の全国企業倒産は7314件と前年度を 13.8%下回った。
給付金やコロナ対策の緊急融資など企業向けの各種支援策が、幅広く行き渡ったことで一時的に倒産が抑制され、コンプラ違反企業の倒産が表面化しづらくなったとみられる。違反類型別に分析すると、最多は決算数値を過大(過少)に見せる「粉飾」で 57件(構成比 31.3%)判明、3年ぶりに減少した。依然として、長年にわたって粉飾決算を行っていたケースや、複数企業が関与する架空取引などが露見し、倒産に至るケースが見受けられた。
次に多かったのは、事業外での不祥事や悪質な不払いなどの「その他」(38件、構成比20.9%)、資金流出・横領などの「資金使途不正」(26件、同14.3%)が続いた。また、労働問題等にかかわる「雇用」が20件(同11.0%)と増加。2017 年より厚生労働省が労基法等違反企業の公表を始めたことで問題の表面化が進んでいる。また、業種別にみると、最も多かったのは「サービス業」の 40件(同22.0%)だった。
「サービス業」は、接骨院チェーンでの診療報酬の不正請求や、弁護士事務所における顧客から預かり金の不正流出などが発生した。次いで「建設業」(34件、構成比 18.7%)が多く、架空取引などの粉飾事例が多くを占める「卸売業」(29件、同15.9%)が続いた。なお、「コンプライアンス違反倒産」は、「粉飾」や「業法違反」「脱税」などのコンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産と定義している。
同調査結果は↓