中小企業社長の4割が「今はまだ事業承継を考えず」

 中小企業庁がこのほど公表した「2020年中小企業実態基本調査(2019年度決算実績)」では、中小企業の社長(個人事業主)の約4割が「今はまだ事業承継について考えていない」ことが分かった。調査結果(有効回答数4万6397社)によると、中小企業全体の社長(個人事業主)の年齢別構成比は、「70歳代」(29.3%)が最も高く、次いで「60歳代」(28.2%)、「50歳代」(21.4%)の順だった。

 中小企業全体の社長(個人事業主)の年齢別構成比を産業大分類別にみると、60歳代以上は「不動産業,物品賃貸業」(72.6%)、「生活関連サービス業,娯楽業」(72.4%)などで高く、50歳代以下は「情報通信業」(53.3%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(42.4%)などで高い。中小企業全体の社長(個人事業主)の在任期間別構成比は、「30年以上」(33.5%)、「10年~20年未満」(24.0%)、「20年~30年未満」(19.0%)の順だった。

 中小企業全体の社長(個人事業主)の在任期間別構成比を産業大分類別にみると、「30年以上」は「生活関連サービス業,娯楽業」(49.7%)が、「10年~20年未満」は「情報通信業」(29.4%)がそれぞれ最も高い。こうした状況のなか、事業承継の意向別構成比は、「今はまだ事業承継について考えていない」(39.4%)が約4割を占め、「現在の事業を継続するつもりはない」(26.9%)、「親族内承継を考えている」(24.0%)の順となった。

 これを産業別にみると、「今はまだ事業承継について考えていない」は「情報通信業」(54.2%)が、「現在の事業を継続するつもりはない」は「生活関連サービス業・娯楽業」(40.1%)が、「親族内承継を考えている」は「不動産業・物品賃貸業」(49.9%)が、それぞれ最も高かった。また、「情報通信業」の場合、産業全体では4.0%しかなかった「役員・従業員承継を考えている」が13.6%あり最も高かった。

 なお、社長の就任経緯別構成比をみると、「創業者」(51.4%)と「親族内での承継」(39.3%)で約9割を占めた。これらに次ぐのが、「社内人材の昇格」(2.8%)で、その差は大きいが、産業別にみると、「情報通信業」の場合、「創業者」が67.0%、「親族内での承継」が12.3%で、「社内人材の昇格」が11.0%の割合と全体に比べて高く、親族内承継に迫る数字となっているのが特徴的となっている。

 2020年中小企業実態基本調査結果は↓

https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210330005/20210330005.html