赤字企業率、倒産企業は53.2%、生存企業は23.3%

 東京商工リサーチがこのほど発表した「倒産企業の財務データ分析調査」結果によると、2020年に倒産した企業のうち、3期連続で財務データが存在する340社の55.2%が倒産直前の決算は減収に陥り、53.2%が最終赤字だった。また、倒産企業は有利子負債構成比率が64.0%と高く、営業利益で利払いを賄えない企業率が35.2%と生存企業の約6倍に達するなど、過剰債務で借入返済や利払い負担の重いことが分かった。

 2020年の企業倒産は7773件で、バブル期の1989年(7234件)に次ぐ低水準だった。コロナ禍の助成金や資金繰り支援、金融機関の柔軟な融資姿勢などに支えられ、倒産は抑えられた。だが、コロナ禍で資金繰りを下支えした支援の副作用が、開始から1年を経過して過剰債務を招いている。政府は金融機関に返済猶予への弾力的な対応を要請しているが、業績改善の遅れから資金繰り維持が難しい“息切れ倒産”の増加が懸念されている。

 最新期の赤字企業率(当期純損失)は、倒産企業340社では53.2%と、過半数を占めた。一方、生存企業31万7765社は23.3%にとどまる。倒産企業と生存企業の差は29.9ポイントに広がり、収益力が企業経営の要であることを改めて裏付けた。倒産企業の赤字企業率は、前々期37.3%→前期44.1%→最新期53.2%と年々悪化をたどっている。一方、生存企業の赤字企業率はほぼ横ばいで、経営環境の変化の中でも採算を維持し、好対照となった。

 営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)は、生存企業の最新期が平均4.8%に対し、倒産企業は▲3.9%の赤字だった。倒産企業の営業利益率は、前々期▲0.3%→前期▲0.8%→最新期▲3.9%と3期連続赤字で、赤字幅が年々膨らみ、本業から収益をあげられない深刻な状況がうかがえる。倒産企業340社のうち、営業黒字企業の割合は前々期63.5%→前期57.0%→最新期50.0%と減少をたどり、業況は悪化を強めている。

 借入依存度を示す有利子負債構成比率(総資産に対する長短借入金、社債などの割合)は、倒産企業は最新期で64.0%。生存企業は29.8%で、その差は2.1倍に開いた。倒産企業の有利子負債構成比率は、前々期55.3%→前期59.7%→最新期64.0%と漸増傾向をみせている。生存企業は、前々期28.8%→前期29.2%→最新期29.8%とほぼ横ばいで推移。本業の採算悪化で、資金繰りを借入金等に依存している企業が倒産に至りやすいことを示した。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210330_01.html