業績修正3月期決算上場企業の75.3%が「上方修正」

 新型コロナウイルスの影響で多くの企業で業績が低迷しているものの、緊急融資や給付金などの支援策によって倒産は抑制され、2020年の倒産件数は20年ぶりの低水準となった。また、そうした状況下で日経平均株価は2月15日に3万円を超えるなど、歪な様相を呈している。株価上昇の要因については、金融緩和などのほかに上場企業の上方修正が相次いだことも一要因とされている。

 帝国データバンクが発表した「上場企業の業績修正動向調査」結果によると、2021年2月末時点で2021年3月期決算(通期)の業績修正(年売上高の修正)を公表した上場企業は802社となり、そのうち604社(構成比75.3%)が「上方修正」(年売上高の増加)、198社(同24.7%)が「下方修正」(年売上高の減少)だった。802 社のなかに業績修正を複数回行った企業が183社あったため、802社が発表した業績修正は計978回となった。

 市場別に社数をみると「東証1部」が525社(構成比65.5%)で最多、「ジャスダック」(119社)、「東証2部」(98社)「東証マザーズ」(37社)の順。また、業種別(大分類)にみると、最も多かったのは「製造業」の389社(構成比48.5%)で、「卸売業」(91社)、「サービス業」(81社)が続いた。上方修正の比率が高かったのは「製造業」(構成比79.9%)、「サービス業」(同74.1%)、「卸売業」(同73.6%)などだった。

 上方修正(年売上高が増加)となった604 社と下方修正(年売上高が減少)となった198 社の年売上高の増減分布を8階層(上方・下方修正それぞれ4 階層)に分けてみると、最も多かったのは「5%未満の増加」(329社、構成比41.0%)で、以下、「5%~10%未満の増加」(168社、同20.9%)、「10%~20%未満の増加」(83 社、同10.3%)と続き、年売上高が10%未満の増加となった企業が全体の62.0%(497社)を占めた。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210302.pdf