東京商工リサーチが発表した「国内銀行109行の『総資金利ざや』調査」結果によると、国内銀行109行の2020年9月中間期決算の「総資金利ざや(中央値)」は、0.14%で2年ぶりに前年同期を0.01ポイント下回った。調査を開始した2010年同期以降では、2016年(0.12%)に次ぐ2番目の低水準。また、同期の「資金運用利回り(中央値)」は0.95%で、調査開始以降、初めて1%を割り込み、本業での収益確保の厳しさを表している。
「総資金利ざや」は、資金の運用利回りと調達利回りとの差を示し、「資金運用利回り」が「資金調達原価」を下回る「逆ざや」は10行だった。新型コロナ感染拡大で、銀行は中小企業への支援策である「実質無利子・無担保」貸出などで貸出額を大幅に伸ばした。一方で、低金利の貸出競争から脱却できず、本業での収益確保の改善が進まず、銀行は中小企業の事業承継などのコンサル業務など非金利収入の新たな収益確保が課題になっている。
国内銀行109行のうち、前年同期と比較可能な108行を対象に、2020年9月中間期の「総資金利ざや」が前年同期より上昇したのは58行(構成比53.7%)で、前年同期の39行から19行増加。また、「資金運用利回り」の中央値は0.95%(前年同期1.00%)で、前年同期より0.05ポイント低下。108行のうち、前年同期より上昇は11行(構成比10.1%、前年同期20行)で9行減少した。
「総資金利ざや」がマイナスの「逆ざや」は10行(大手行3行、地方銀行5行、第二地銀2行)で、前年同期の16行から6行減少した。9月中間期の「逆ざや」は、2016年2月にマイナス金利が導入後の2016年と2017年同期に19行と、2010年同期以降で最多を記録。その後、2018年同期は14行まで減少したが、2019年同期は低金利のなかで金利収入を稼げた不動産向け貸出等が抑制に転じ16行に増加した。
2020年9月中間期は、「資金運用利回り」は改善しなかったが、「資金調達原価」の圧縮で「総資金利ざや」を改善させた。2020年9月中間期に「逆ざや」の10行のうち、2年連続で「逆ざや」は8行だった。内訳は、大手行2行(みずほ銀行、あおぞら銀行)、地方銀行4行(筑波銀行、北越銀行、三重銀行、中国銀行)、第二地銀2行(東京スター銀行、みなと銀行)となっている。
同調査結果は↓