日本商工会議所が発表した「事業承継と事業再編・統合の実態に関するアンケート調査」結果(有効回答数4140社)によると、経営者年齢別の後継者決定状況は、60歳代から後継者を決定する傾向にある一方で、60歳代で2割弱(18.7%)、70歳以上で1割強(13.0%)がいまだに後継者を決定していないことが分かった。経営者にとって60歳がひとつの節目となり、後継者を決めているケースが多いものと推察している。
経営者年齢が60歳以上の企業において、事業承継税制が抜本拡充される前の2017年時点では、「既に後継者を決めている」は49.3%だったが、直近の2020年では52.6%となり、約3年間で3.3ポイント増加している。一方、「後継者を決めていないが、事業継続したい」(16.2%)、「自分の代で廃業する予定 」(4.8%)と回答した後継者不在企業は約2割(21.0%)となっている。
「既に後継者を決めている」、「後継者候補はいる」と回答した企業において、後継者との関係は「子」が71.0%と最も多く、親族内が8割超を占めている。後継者への事業承継の完了予定時期は、「5年未満」とする企業が51.3%と約半数を占める。一方、「5年以上」(37.8%)、「未定」(10.8%)とする企業も約半数を占め、特例事業承継税制の適用期限(2027年12月31日)までに承継のタイミングが合わない企業群も数多く存在する。
他方、経営者年齢別にコロナ禍における取組み状況をみると、若い経営者ほどコロナ禍においても新しい取組みを行う傾向にある一方、70歳以上の経営者はコロナ禍でも「新たな取組みを行っていない」が3割弱(27.9%)となり、59歳以下と比較すると10ポイント以上の差がでている。コロナ禍からの経済の再生に向け中小企業の活性化が求められる中で、 事業承継促進が一層重要となる。
事業承継にあたっての障害・課題は、「後継者への株式譲渡」が約3割で最多。また、株式譲渡にも関連する「自社株の評価額」は2割弱だった。事業承継の障害・課題として「後継者への株式の譲渡」と回答した企業において、株式譲渡を行う際の障害は「譲渡の際の相続税・贈与税が高い」が約7割、「後継者に株式買取資金がない」が約6割となっており、株式譲渡においては、税制面及び資金面がボトルネックとなっている。
同調査結果は↓