コロナでのテレワーク実施、「全正社員対象」55.4%

 日本経団連が会員企業を対象に昨年8~9月に実施した「2020年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」結果(有効回答数419社)によると、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としてのテレワークの実施状況(複数回答)は、「基本的に全正社員を対象に実施」が55.4%と最も多く、次いで、「派遣社員にも実施」が52.0%、「一部の正社員を対象に実施」が41.3%、「パート・アルバイト等にも実施」が38.9%で続いた。

 就業規則等の社内規程や運用の見直し状況は、「既にテレワーク勤務制度があり、規定や運用を見直さなかった」は7.0%だったが、「既にテレワーク勤務制度があり、規定や運用を拡充した」が43.8%となり、約半数の企業はテレワーク制度がすでにあった。「制度はなかったが、テレワーク勤務を緊急的に運用で可能とした」は33.9%、「テレワーク勤務制度の規定を新たに導入した」が8.9%となっている。

 テレワークにおける業務効率・生産性の変化は、「上がった」が20.4%、「下がった」が27.0%、「変わらない」が32.7%だった。業務効率等が上がった理由(複数回答)は、「通勤時間の削減により、従業員の負荷が軽減した」が86.7%と最も多く、「打合せ・会議が効率化できた」(59.0%)、「移動・出張時間が削減できた」(48.2%)、「従業員が業務に集中できた」(43.4%)、「ペーパレス化等による社内のデジタル化が進んだ」(39.8%)が続いた。

 一方、業務効率等が下がった理由(複数回答)は、「テレワーク環境が十分に整備されておらず、遂行困難な業務があった」が75.9%、「従業員同士のコミュニケーションがとりづらかった」が73.1%と、この2項目が大きな要因となっている。以下、「部下の業務の進捗管理が難しかった」(47.2%)、「顧客とのコミュニケーションがとりづらかった」(36.1%)、「上司の管理業務が煩雑化・複雑化した」(19.4%)などが挙げられた。

 テレワークの実施により明らかになった課題(5つまで回答)では、「従業員同士のコミュニケーション」が74.1%と最も多く、次いで、「業務手法におけるデジタル化(諸手続きの電子化・ペーパレス化等)」(67.5%)、「労務時間管理」(53.0%)、「従業員の人事評価」(49.8%)、「ICT環境の整備」(40.1%、「従業員の育成」(37.4%)、「テレワークの対象とする範囲に見直し」(36.0%)、「従業員の健康管理」(28.3%)などが続いた。

 同調査結果は↓

https://www.keidanren.or.jp/policy/2021/004.pdf