東京商工リサーチが発表した「上場企業2375社の女性役員比率調査」結果によると、2018年3月期の上場企業2375社の役員数は、男性は2万6477人に対し、女性は1049人だった。女性役員比率は3.8%で、構成比は前年の3.3%から0.5ポイント上昇した。また、女性役員が一人もいない企業は1563社(同65.8%)で、前年の1646社から社数は83社減少し、女性の役員登用に向けた動きは緩やかだが進んでいることが分かった。
2018年3月期で女性役員比率が前年より上昇したのは210社(構成比8.8%)、低下は130社(同5.4%)。前年と同比率は2035社(同85.6%)で、全体の8割を占めた。同調査は、東京証券取引所など、全ての証券取引所に株式上場している企業のうち、2018年3月期決算の企業を対象に各企業の有価証券報告書の役員状況に記載されている男性・女性の人数を集計、分析したもの。
業種別の女性役員比率で、最高は「サービス業」の6.0%、次いで、「小売業」5.9%、「金融・保険業」5.6%、「電気・ガス業」5.1%、「不動産業」4.5%と続く。女性役員比率が最高だった「サービス業」は、役員総数1991人(前年1988人)のうち、女性役員は121人(同105人)を占めた。女性役員ゼロを業種別にみると、最高は「建設業」で77.0%(131社中101社)と8割近くを占めた。女性役員比率も2.0%と全業種で最も低かった。
「建設業」以下は、「製造業」71.3%(1105社中788社)、「卸売業」70.3%(236社中166社)の順で、この3業種は7割を超えて女性の役員登用が少ないことが浮き彫りとなった。一方、女性役員ゼロの構成比が最も低かったのは、「電気・ガス業」の35.0%(20社中7社)。社会インフラに直結し、公共的な存在意義に加え、業務との関連で女性役員の登用機会が他業種より多いとみられる。
政府は2015年12月、第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、上場企業の女性役員の割合を「2020年までに10%を目指す」目標を掲げた。だが、2018年3月期決算の上場企業の女性役員比率は3.8%で、5%以上は790社(構成比33.2%)と3割に過ぎない。女性の役員登用は少しずつ前進しているが、女性役員ゼロの企業が1563社(同65.8%)あり、10%の計画実現が難しい現実を浮き彫りにしている。
同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180731_01.html