日本政策金融公庫が、信用保証に関する金融機関アンケート調査の中で実施した「コロナ禍における中小企業者への融資状況等についての特別調査」結果(有効回答数231金融機関)によると、2020年度上期末時点における取引先中小企業のうち、2020年度上期に融資を行った企業の割合は38.4%となっている。2020年度上期に融資を行った中小企業のうち、信用保証付き融資を利用した先の割合は71.6%だった。
また、2020年度上期において融資を行った中小企業のうち、実質無利子・無担保融資で、国が保証料補助・利子補給を行う「新型コロナウイルス感染症対応資金」を利用した先の割合は56.0%だった。金融機関業態別でみると、融資を行った企業の割合及び保証利用先の割合は信用金庫がそれぞれ40.5%、74.4%と最も高く、「新型コロナウイルス感染症対応資金」の割合は信用組合が63.7%で最も高くなっている。
2020年度上期において融資を行った中小企業のうち、新規融資先の割合は15.9%となっており、その多くは保証利用先だった。「新型コロナウイルス感染症対応資金」の実施に際し、特に注力した点については、「迅速な融資決定・実行」が91.6%と最多。次いで「融資申込手続きの円滑化(民間金融機関による相談窓口の拡充等)」(81.9%)、「信用保証協会との連携」(65.0%)と続いている。
2020年度上期末におけるプロパー融資と信用保証付き融資の利用状況については、前回調査(2018年度下期末)と比べ、「プロパー融資のみ企業」の割合は45.4%から38.1%に低下し、「信用保証付き融資のみ」企業の割合が30.8%から35.6%に上昇。金融機関業態別にみると、地方銀行、第二地銀、信用金庫では信用保証付き融資の利用企業の割合が上昇しているが、都市銀行は同割合が低下し、「プロパー融資のみ企業」の割合が上昇した。
「新型コロナ感染症対応資金」の借入限度額の3千万円から4千万円への拡大による今後の影響は、「手元余裕資金を含めた融資が増加」(65.5%)、「本制度を利用した先において、厳しい資金繰り対応への追加融資が増加」(64.6%)が6割を超えた。また、今後(当面1年程度)、特に取組み強化を図っていく予定の金融・経営支援策では、「事業計画や経営改善計画の策定支援、進捗状況のフォローアップ」が61.8%で最多だった。
次いで「資金繰り改善のため、金利負担軽減のための借換、条件変更対応」(51.6%)、「前向き資金も含めたニューマネー(真水)での資金供給」(49.3%)と続いている。中小企業に対する金融・経営支援を行う際に、特に連携が必要であると思う関係機関等については、「信用保証協会」が93.4%で最多。次いで「政府系金融機関(日本政策金融公庫等)」(56.8%)、「中小企業再生支援協議会」(43.6%)となっている。
同調査結果は↓