2018年3月期決算の上場企業1893社の平均年間給与は620万8000円(中央値608万円)で、前年より6万7000円(1.0%増)増えたことが、東京商工リサーチが発表した「上場企業の平均年間給与調査」結果で分かった。2010年3月期から8年連続の増加で、8年間で54万6000円(9.6%増)上昇した。伸び率(前年比1.0%増)は、2017年3月期を0.4ポイント上回り、2016年3月期(同1.0%増)以来、2年ぶりに1%台を確保した。
業種別のトップは、「建設業」の728万4000円、「不動産業」(723万6000円)、「水産・農林・鉱業」(706万4000円)と続き、上位3業種が700万円台に乗せた。建設業は、活発な建設投資を背景に、好決算が続出した上場ゼネコンが牽引した。一方、最低は「小売業」の474万7000円、次いで、「サービス業」が525万6000円だが、小売業は5年連続、サービス業は8年連続で増えており、深刻な人手不足に対応した待遇改善は進んでいる。
増減率では、10業種のうち、「金融・保険業」(前年比0.1%減)を除く9業種で前年を上回った。伸び率トップは、「不動産業」(同2.7%増)で、都市部を中心に不動産市況が業績に寄与した結果とみられる。次いで「卸売業」(同2.1%増)が続き、上位2業種が伸び率2%台。唯一、前年を下回った金融・保険業は2年連続で減少。マイナス金利の継続や低金利競争の激化など、金融機関を取り巻く深刻な収益環境を浮き彫りにしている。
個別企業の平均年間給与トップは、「三菱商事」の1540万9000円。以下、「伊藤忠商事」(1460万9000円)、「三井物産」(1419万9000円)と大手総合商社が上位を独占した。総合商社では6位に「丸紅」(1322万円)8位に「住友商事」(1304万1000円)、14位に「双日」(1103万円)、19位に「豊田通商」(1051万7000円)などがランクイン。このほか、不動産やゼネコン、メーカーなど各業界を代表する大手が上位に並んだ。
平均年間給与「1000万円以上」は24社(構成比1.2%)で、前年より3社増加。社数の最多は「500万円以上600万円未満」で、555社(同29.3%)と3割を占めた。また、「500万円以上700万円未満」のレンジ内に1092社(同57.6%)と、全体の約6割が集中した。国税庁が発表した2016年分の民間給与実態統計調査(平均給与421万6000円)と比較しても、上場企業の給与水準が高いことを裏付ける結果となった。
同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180803_01.html