3年ぶりの増加に転じた1~11月の旅行業者の倒産

 帝国データバンクがこのほど発表した「旅行業者の経営実態・ 倒産動向調査」によると、旅行業者の2020年1~11月の倒産件数は24件発生し、既に2019年の20件を上回って推移している。特に10月は6件、11月も3件と増加傾向にある。旅行業者はリーマン・ショック前後に高水準の倒産が続いたが、近年の倒産は少なく、直近でも2018~2019年と2年連続で件数、負債額とも減少していた。しかし2020年は3年ぶりの増加に転じた。

 旅行業者の倒産は、2000年1月から2020年11月までに746件発生。最も倒産が多かった地域は「関東」で、2000年以降の累計では356件(構成比47.7%)の倒産が発生しており、2020年においても9件(同37.5%)に達している。次いで「近畿」の161件(同21.6%)で、2020年においても7件(同29.2%)を占めた。「関東」、「近畿」、「中部」に全体のおよそ8割が集中。「北海道」は2016年以降、旅行業者の倒産が1件も発生していない。

 「負債額別」でみると、最も多いのは「1000万~5000万円未満」。これまでに384 件(構成比51.5%)の倒産があり、2020年も12件(同50.0%)と全体の半数を占めた。次いで「1億~5億円未満」の164件(同22.0%)、「5000万~1億円未満」の159 件(同21.3%)と続く。負債5億円に満たない小規模事業者が全体の9割強を占め、傾向として大型倒産は少ない。

 また、「資本金別」で最も多かったのは「1000万~5000万円未満」で、累計476 件(構成比63.8%)に達した。次いで「100万~1000万円未満」の144件(同19.3%)。2000年以降、この両者で全体の8割強を占め、小規模事業者が多いことを裏付けている。2020年においても「1000万~5000万円未満」が14件(同58.3%)、「100万~1000万円未満」の7件(同29.2%)と合わせると87.5%に達しており、こうした傾向は変わらない。

 なお、最新期の業績が判明している旅行業者2924社の「売上規模別」をみると、売上高10億円に満たない企業が全体の88.2%を占めた。「売上高動向」については、2017年度から2019年度まで直近3年間の比較が可能な2607社を対象に、売上高動向を分析したところ、「増収」が2017年度と2019年度の比較で9.8ポイントも減少し、「減収」が同6.8ポイント増加している。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p201203.pdf