飲食業倒産、年間最多の800件超えが確実な勢い

東京商工リサーチが発表した「飲食業倒産調査」結果によると、新型コロナウイルスの第三波を受け、感染急増地域の往来自粛や、酒類を提供する飲食店の営業時間短縮などが提言されたが、新型コロナに直撃された「飲食業」では、倒産(負債1000万円以上)が急増している。2020年1~11月累計で792件(前年同期比8.0%増)に達し、これまで年間で最多の2011年の800件を上回ることが確実になった。

  すでに1~10月で2019年通年の倒産件数を超えていた「酒場,ビヤホール(居酒屋)」、「そば・うどん店」、「すし店」、「宅配飲食サービス業」に加え、11月は「喫茶店」、「持ち帰り飲食サービス業」も2019年通年の倒産件数を上回った。コロナ禍で在宅勤務が定着したほか、感染防止で会食などの需要が減少し、インバウンド需要消失や休業・時短要請なども経営に大きな打撃を与えている。

業種別では、最多が日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼き肉店などの「専門料理店」で192件。次いで、「食堂,レストラン」184件、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」162件の順。増加率では、「すし店」61.1%増(18→29件)と、「そば・うどん店」50.0%増(12→18件)が際立つ。零細規模の企業・店舗が多く、在宅勤務などで外食需要が落ち込み、売上減少から資金繰り悪化を招いたとみられる。

資本金別では、個人企業を含む1千万円未満が703件で、構成比は88.7%と約9割を占めた。内訳は、個人企業他337件(構成比42.5%)、「100万円以上500万円未満」259件(同32.7%)、「500万円以上1000万円未満」65件、「100万円未満」42件。「飲食業」は、少ない手元資金で新規に参入した企業も少なくない。ただ、自己資本が乏しいだけに経営体力がぜい弱で、不測の事態では新たな資金調達も難しく倒産に至るケースも多い。

 飲食業は過小資本でのスタートアップが可能で小・零細企業・店舗が多く、倒産企業の約9割を占める。新型コロナ第三波で、東京都、大阪府など「GoToイート」のプレミアム付食事券の販売停止や、再度の時短営業を要請する動きが出ている。クリスマスや忘・新年会など、かき入れ時の年末年始の売上消失は、倒産だけでなく、休廃業を促す事態も懸念されている。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201204_04.html