帝国データバンクが発表した「焼酎メーカー売上高ランキング調査」結果によると、全国の焼酎メーカーの2017年(1月期~12月期)の売上高ランキングは、6年連続で「霧島酒造(株)」(宮崎県都城市)がトップとなった。2018年に発売から20周年を迎える主力の「黒霧島」を主体に、ロングセラー「霧島」をリニューアルした「白霧島」などが知られ、芋麹でつくる「吉助」シリーズなども展開している。
2位は6年連続で「三和酒類(株)」(大分県宇佐市)。“下町のナポレオン”の愛称で知られる「いいちこ」シリーズを主体に、地元大分産の麦を使用した「西の星」ブランドを展開。関東・関西・中部などの大都市圏をはじめ、北米やアジアなど世界各国・地域に販路を構築している。本格焼酎「いいちこ空山独酌」シリーズに米焼酎を追加するなど、消費者の嗜好の多様化への対応を図ったが、減収を余儀なくされた。
3位は「オエノンホールディングス(株)」で、傘下の「合同酒精(株)」(東京都中央区)、「福徳長酒類(株)」(千葉県松戸市)、「秋田県醗酵工業(株)」(秋田県湯沢市)の3社で焼酎を製造。同調査では3社の焼酎事業の売上高[有価証券報告書記載のセグメント別アイテム(主要製品)別の販売実績]が集計対象で、2008年以降、連結売上高に占める焼酎の比率が5割を下回って集計対象外となっていたが、10年ぶりにランキングに復帰した。
上位50社の売上動向をみると、「増収」企業が18社(前年19社)だったのに対し、「減収」が29社(同26社)にのぼった。「横ばい」は3社(同5社)。6割近くの焼酎メーカーが減収を余儀なくされており、焼酎ブームの収束と、その後のハイボールブームやRTD・低アルコール飲料の台頭などの影響を受けている様子がうかがえる。「減収」企業の増加は、売上高規模を問わない業界全体の課題となっている。
売上高規模別にみると、「減収」企業割合が最も高かったのは「50億円以上100億円未満」(5社中4社)で、「10億円以上20億円未満」及び「20億円以上50億円未満」でも半数以上が減収。「100億円以上」も7社中4社が「減収」となった。また、2007年(10年前)と比べると、大手メーカーへの売上集中が進んでいる実態も見えてきた。上位50社の売上高合計に占める割合は60.2%から65.9%に上昇した。
利益の動向をみると、税引き後当期純利益が判明した43社のうち、「赤字」企業は9社だった。構成比は20.9%と、収益面でも苦戦を強いられる企業が増加。「赤字」となった9社のうち、2年連続減収となった企業が6社で、そのうち4社は2年連続で7%以上の減収を余儀なくされた。太陽光発電設備の設置にともなう減価償却負担の増加など、一時的な要因含みの企業もあるが、減収が利益減少に作用している傾向が見て取れる。
同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s180802_80.pdf