アニメ制作業界規模は約2400億円、成長に急ブレーキ

 帝国データバンクがこのほど発表した「アニメ制作業界動向調査」結果によると、日本動画協会の調べでは、2018年のテレビアニメ制作本数は332本となり、2年連続で減少した。制作本数が2年以上連続で減少したのは、「アニメバブルの崩壊」と言われる2007~10年の4年間以来、8年ぶり。テレビアニメの制作タイトル数は5年連続で300本を超えるなど高水準で推移するものの、近年頭打ちの傾向にある。

 2019年(1~12月期決算)におけるアニメ制作業界の市場規模(273社の事業者売上高ベース)は2427億4900万円だった。2011年以降9年連続で前年を上回り過去最高を更新した。一方、前年からの伸び率では0.5%の増加にとどまり、増加率としては11年以降で過去最低を記録した。2010年代に入りアニメ制作業界では急速に業容の拡大が続いたものの、19年は成長ペースが急減速した。

 2019年の制作1社当たりにおける平均売上高は8億9900万円となり、アニメバブル崩壊直前でピークだった2007年(約10億円)の約9割となった。前年比では4.2%増加し、2016年以降4年連続で拡大した。売上動向では、「増収」が前年比で38.0%を占め、「減収」(22.4%)を大きく上回った。損益面では、2019年における「増益」の構成比は52.2%だった。2018年(48.8%)を上回ったほか、2年連続で前年から増加した。

 下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」では、2019年の平均売上高は3億3700万円(前年比5.8%増)となり、3年連続で増加した。「増収」は36.1%を占め、「減収」(36.7%)をわずかに下回ったものの、増収企業の割合は2年連続で増加した。損益面では「増益」が56.3%、「減益」が32.8%だった。「赤字」は17.2%で、過去10年間で2番目に低い水準となった。

 倒産・休廃業・解散動向では、2019年は倒産が2社、休廃業・解散が1社の計3社が判明。過去最多の12社が市場退出した18年から大きく減少した。アニメ制作会社の経営破綻の特長として、人材不足による人件費の高騰、下請業者などへの支払い費用増大で採算割れが常態化し、資金繰りが行き詰まったケースが多い。近年では、所属するアニメーターへの報酬未払い・遅延などが頻発した末に倒産した制作会社が目立っている。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p201002.pdf