全国法人会総連合がこのほど発表した2021年度税制改正の提言によると、中小企業が事業継続するための税制措置について、法人税関係では、地域経済の担い手であり我が国経済の礎である中小企業にとって、新型コロナ拡大による深刻な影響を受け不安が増幅しているとともに、自然災害による被害も多発するなど取り巻く環境は一段と厳しさを増しており、事業を継続していくための税制措置の拡充等が必要だとしている。
具体的には、中小法人に適用される軽減税率の特例(税率15%)の本則化及び1981年(昭和56年)以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を少なくとも倍の1600万円程度に引き上げることを求めている。そして、同制度は2021年3月末日が適用期限となっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は適用期限を延長すべきとしている。
また、中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置として、中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充した上で、「中古設備」を含めること、それが直ちに困難な場合は2021年3月末日となっている特例措置の適用期限の延長や、少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置については、損金算入額の上限(合計300万円)を撤廃し全額損金算入を認める、などといった設備投資支援措置の見直しを盛り込んだ。
消費税関係では、2023年10月からの「適格請求書等保存方式」導入に向けて、来年10月より「適格請求書発行事業者」の登録申請が始まるが、新型コロナの拡大が特に小規模事業者等の事業継続に多大な影響を与えていることから、これら事業者が事務負担増等の理由により廃業を選択することのないよう、現行の「区分記載請求書等保存方式」を当面維持するなどの弾力的対応を求めている。
そのほか、事業承継税制関係では、事業に資する相続について、事業従事を条件として他の一般資産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除する制度の創設や、相続税・贈与税の納税猶予制度について、猶予制度ではなく免除制度に改めること、新型コロナの影響などを考慮して、より一層、2017年度以前の適用者に対しても適用要件を緩和する配慮をすべきことなどを要望している。
2021年度税制改正に関する提言は↓
http://www.zenkokuhojinkai.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/令和3年度税制改正に関する提言.pdf