東京商工リサーチがこのほど発表した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」結果(有効回答数1万3166社)によると、新型コロナの収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性のある中小企業は8.8%にのぼり、前回調査(7~8月)より0.3ポイント悪化した。このうち、44.4%は検討時期を「1年以内」と回答。廃業を検討する可能性のある大企業は1.2%にとどまり、中小企業とは7倍の差がついた。
廃業を検討する可能性が「ある」と回答した企業を業種別でみると、「その他の生活関連サービス業」の41.3%が最多、次いで、「織物・衣服・身の回り品小売業」の40.0%で、2業種が4割を超えた。以下、「飲食店」の29.7%、「道路旅客運送業」の25.0%と続く。7位までは、一般個人向けの業種が占めた。ただ、13位に「広告業」が13.7%でランクするなど、需要喪失の影響が多方面に広がっている。
在宅勤務については、「現在、実施している」は、34.4%、「新型コロナ以降に実施したが、現在は取りやめた」は22.8%だった。一方、「新型コロナ以降、一度も実施していない」は42.7%にのぼった。規模別でみると、大企業の61.3%が「現在、実施している」と回答したのに対し、中小企業では29.0%にとどまった。「新型コロナ以降、一度も実施していない」は中小企業で48.0%だった。
在宅勤務を「現在、実施している」企業の在宅勤務率は、最多は「1割」の28.5%。同じ設問を設定した第6回調査(6月29日~7月8日)では、21.8%だった。「5割以上」は39.0%(第6回調査50.9%)で4割を下回った。感染拡大が緩やかになり、出社人数が増加しているものとみられる。規模別でみると、大企業で「5割以上」と回答したのは38.1%だったのに対し、中小企業では39.4%だった。
なお、電子化されていない印鑑(ハンコ)の押印・捺印は、在宅勤務・リモートワークの妨げになっているかについては、「大いになっている」が11.7%、「どちらかというとなっている」は31.5%で、「なっている」は合計43.2%だった。規模別では、中小企業の「なっていない」は61.3%だったのに対し、大企業は35.8%にとどまった。ガバナンス上、書類作業の多い大企業は「ハンコ文化」が在宅勤務のネックになっているようだ。
同調査結果は↓