2018年度の倒産発生率は0.24%、10年連続で低下

 東京商工リサーチが発表した「2018年度倒産発生率調査」結果によると、普通法人の倒産発生率は2016年度0.26%、2017年度0.25%と低下が続き、2018年度は0.24%と、2001年以降で最低となった。倒産発生率は、リーマン・ショックが発生した2008年度に0.53%(前年度0.46%)と0.50%台まで上昇した。中小企業金融円滑化法の施行された2009年度以降は、倒産発生率は年々低下をたどり、10年連続で前年度を下回った。

 2018年度の普通法人の倒産は10年前の2008年度と比べ52.9%減少している。一方、普通法人数が2008年度から2018年度の10年間で、4.7%増加したことも影響している。新型コロナ感染拡大という稀有の事態を受けて、企業倒産が増勢の気配を見せるなか、規模や業種、地域を問わずあらゆる企業で経営環境の悪化が叫ばれている。企業倒産が増加をたどれば、2019年度、2020年度の普通法人の倒産発生率への影響は避けられない。

 都道府県別では、2017年度まで3連続で倒産発生率最高だったのが「静岡」で、2016年度0.40% 、2017年度0.36%に対して、2018年度には0.28%と低下し、「宮城」が0.29%でトップに代わった。「宮城」は2017年度が0.20%(34位)だったが、復興需要がピークを越え、倒産が増加。続いて「高知」が2017年度の0.26%(17位)から2018年度は0.29%と発生率が高まり、全体の2番目の高率だった。3位がこれまでトップだった「静岡」。

 一方で、倒産発生率の最低は、2011年3月の東日本大震災の復興特需を背景に、2015年度まで4年連続で「福島」だった。しかし、2016年度以降は、「熊本」が2016年度0.10%、2017年度0.10%、2018年度0.12%と3年連続で最低を維持。2016年度の熊本県の倒産件数は35件(前年度比48.5%減)と半減し、過去20年間で最少を記録。2016年4月の熊本地震で、国や自治体、金融機関の支援策で倒産が抑制されたのが要因とみられる。

 産業別の倒産発生率では、「卸売業」(倒産発生率0.45%)が最高で、2015年度から4年連続で最高率が続いている。倒産件数が高止まりし、普通法人数は年々減少していることも背景にある。次いで、ソフトウェア業や出版、広告制作業を含む「情報通信業」(同0.44%)。人手不足などによる倒産増が高率を招いている。一方、倒産発生率が低率だったのが「金融・保険業」(同0.05%)。倒産件数が10産業のうち最少で、減少が続いている。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200803_04.html