成年年齢の引下げに伴う「未成年者控除」の見直し

 国税庁はこのほど、相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)を公表した。これは、2019年度税制改正を受けて、2020年7月2日付で「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところだが、そのあらましについて解説したもの。その中に、民法の一部改正により成年となる年齢が18歳に引き下げられたことに伴う「未成年者控除」関係がある。

 未成年者控除の規定は、財産を取得した者が相続を放棄したことにより相続人に該当しないこととなった場合においても、その者が無制限納税義務者で20歳未満の者に該当し、かつ、その被相続人の民法の規定による相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)に該当するときは、適用があることに留意することとされている。

 未成年者控除は、相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人や相続や遺贈で財産を取得したときに20歳未満である人などは、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額が控除される。上記の無制限納税義務者とは、相続等により財産を取得した個人が財産を取得した時に、法施行地に住所を有する者であり、相続等を受けた財産の住所にかかわらず納税義務を負う者である。

 また、上記の「20歳未満」は、2022年4月1日以後に相続又は遺贈により財産を取得する者については、18歳未満となる。これは、2018年の民法の一部改正法により、20 歳とされていた成年となる年齢が18歳に引き下げられ、男性が18歳、女性が16歳とされていた婚姻開始年齢について、男女とも18歳とするなど民法における成年年齢の改正が行われ、2022年4月1日から施行することとされたことを受けたものだ。

 この民法における成年年齢の見直しを踏まえ、2019年改正法による相続税法及び措置法の改正により、20歳を基準としている相続税及び贈与税に係る次の規定について18歳を基準とする内容の改正が行われ、原則として、2022年4月1日以後に相続・遺贈・贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用し、同日前に相続・遺贈・贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税については、従前どおりとされた。

 この改正を踏まえ、相続税法基本通達等の一部改正においても、「未成年者控除」、「相続時精算課税の選択」、「直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例」、「相続時精算課税適用者の特例」、「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除」、「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」について所要の整備を行われている。