2020年度の決定初任給(2020年4月に確定した初任給)の水準は、大学卒(一律)で20万9014円、高校卒(一律)で16万9687円となったことが、産労総合研究所が上場企業等を対象に実施した「2020年度決定初任給調査」結果(有効回答数355社)で分かった。4月入社者の初任給を引き上げた企業は39.7%で、前年から10.9ポイント減となり、昨年は20年ぶりに「引き上げた」が「据え置いた」を上回ったが、2年は続かなかった。
約4割を占めた引き上げた企業の内訳をみると、全学歴を対象に引き上げた企業は80.1%(前年84.7%)、一部学歴を対象に引き上げた企業は16.3%(同13.5%)だった。引き下げた企業が2社あった。企業規模別に「引き上げた」企業の割合をみると、「1000人以上」企業が53.7%、「300~999人」企業が41.4%、「299人以下」企業が31.2%となっており、企業規模が大きいほど引き上げた率は高い。
初任給を引き上げた理由(複数回答)は、最多が「人材を確保するため」が65.2%、次いで「在籍者のベースアップがあったため」が37.6%。企業規模別では、「人材を確保するため」はどの規模でも65%前後だが、「在籍者のベースアップがあったため」は企業規模が高いほど割合が高い。据え置いた理由(複数回答)は、「現在の水準でも十分採用できる」が49.7%が最多、次いで「在籍者のベースアップがなかった」が32.7%となっている。
2019年度の初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は20万9014円、高校卒は16万9687円となっている。一方で、職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合、大学卒の「最高額」は21万7752円、「最低額」は19万7449円。高校卒では「最高額」は18万1527円、「最低額」は16万8287円だった。
なお、4月入社の新卒入社者の場合、入社年度の夏季賞与の支給日には在籍しているものの、算定期間としてはわずかか、あるいは算定期間を過ぎた後の入社という場合が多いが、その中で、何らかの形で夏季賞与を「支給する」企業は85.6%、「支給しない」企業は7.9%。支給額の平均をみると、「大学卒」9万6735円、「高校卒」7万4307円。支給額の分布をみると、最も多いのが「5~10万円」(大学卒41.8%、高校卒50.0%)だった。
同調査結果は↓