飲食店は、人手不足や社長の高齢化、後継者不足などの問題を抱えるなか、2019年に倒産件数が732件となり、過去最多を更新した。帝国データバンクが発表した「飲食店の倒産動向調査」結果によると、2020年上半期における飲食店事業者の倒産は398件発生し、上半期として過去最多となった。このままのペースで倒産が発生すると、2020年の年間倒産件数は796件前後となり、過去最多を更新する可能性がある。
また、業態別でみると、居酒屋やビヤホールのほか、焼き鳥店、おでん店、もつ焼き店などを含む「酒場・ビヤホール」は2020年上半期が100件、年換算した場合が200件となった。また、ラーメン店、カレー店、焼肉店、餃子店などを含む「中華・東洋料理店」は同55件、年換算した場合が110件となったほか、てんぷら店、うなぎ店、とんかつ店、沖縄料理店などを含む「日本料理店」は同39件、年換算した場合が78件となった。
これら「酒場・ビヤホール」、「中華・東洋料理店」、「日本料理店」の3業態は、このままのペースで倒産が発生すると、過去最多を更新する可能性がある。同様に年換算した場合の件数をみると、2019年を上回る可能性があるのは、上記3業態のほか、「バー・キャバレーなど」(2020年上半期38件、年換算した場合76件)、「すし店」(同14件、同28件)、「そば・うどん店」(同9件、同18件)、「料亭」(同6件、同12件)の計7業態となった 。
負債額別にみると、2020年上半期は「5000万円未満」の小規模倒産が構成比79.9%(318 件)、5000万円以上の倒産は同20.1%(80件)となった。「5000万円未満」の倒産は、2015年から2019年まで5年連続で構成比8割超となっているが、2020年上半期時点では2014年以来6年ぶりに構成比8割を下回っている。こうしたことから、最近の飲食店の倒産は、企業規模にかかわらず生じていることがうかがえる。
新型コロナ感染拡大に伴う影響は、2020年下半期においても引き続き飲食業界に波及していく恐れがある。こうした影響を緩和すべく、政府は持続化給付金や実質無利子・無担保融資などの支援策を打ち出しているが、先行きの見えない新型コロナウイルス感染抑止の社会環境下で、来客者不足など根本的な問題を解決することは難しい状況である。飲食店の倒産は引き続き高水準で推移する可能性がある。
同調査結果は↓