企業が中古資産を購入して事業の用に供するケースは少なくない。例えば、企業が営業用車両などの資産を中古で購入したケース。この場合の中古資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、原則として、その中古資産を事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数による。つまり、あと何年使用することができるかを合理的に見積り、見積った年数を耐用年数として、減価償却の計算を行うことになる。
その使用可能期間の見積りは、中古資産の使用状況、損耗割合等の具体的な資料を基に算出する方法や技術者等の鑑定を基に見積る方法など合理的な方法によって行う。ただし、使用可能期間を見積ることに困難を伴う場合には、簡便法により算定した耐用年数によることができる。計算方法は下記のようになり、算定した耐用年数に1年未満の端数が生じたときは切り捨て、算定した年数が2年未満のときは、耐用年数を2年とする。
「簡便法」による計算は、(1)法定耐用年数の全部を経過した資産は、「法定耐用年数×20%」、(2)法定耐用年数の一部を経過した資産は、「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」で算定する。使用可能期間を合理的に見積ることはなかなか困難を伴うケースが多いことから、中古資産を購入したときは、簡便法により中古資産の耐用年数を算定することが多くなると思われる。
ただし、取得した中古資産を事業の用に供するために改良を加えるなど資本的支出を行った場合は注意が必要だ。その資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50%を超えるときは、簡便法によることができず、法定耐用年数を適用することになる。つまり、その資本的支出の金額が再取得価額の50%超の場合は、法定耐用年数によることになる。この再取得価額とは、中古資産と同じ新品のものを取得する場合の価額をいう。
また、その資本的支出が再取得価額の50%以下の場合には、加重平均法という次のような計算式により、耐用年数を算定する。加重平均法は、「(取得価額+資本的支出)÷(取得価額÷簡便法による耐用年数+資本的支出÷法定耐用年数)」で計算する。これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは切り捨てる。以上、取得した中古資産に改良などを加えることによって相当額を支払った場合には、注意が必要となろう。