東京商工リサーチが発表した「2020年3月期決算上場企業の継続企業の前提に関する注記調査」結果によると、2020年3月期決算を発表した上場企業2386社のうち、決算短信で「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記:GC注記)」を記載した企業は25社だった。また、GC注記には至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」は53社だった。
GC注記と重要事象を記載した企業数は合計78社で、前年度本決算(2019年3月期)の58社から20社増加(34.4%増)し、2013年3月期(73社)以来、7年ぶりに70社を上回った。GC注記企業は2019年9月中間決算から4社増加し、25社だった。中間決算(21社)からは1社がGCを解消し、4社が2020年3月期本決算未発表の状態。ここに9社が新たにGC注記を記載した。
重要事象の記載企業は2019年9月中間決算から19社増加し、53社となった。中間決算(34社)から解消したのは3社で、2社はGC注記を記載、2社が決算未発表。ここに1社が決算期変更で加わり、25社が新たに重要事象を記載した。2020年3月期は新型コロナに伴う決算作業や監査の遅延の影響で、上場企業の多くで決算発表の遅延が生じた。7月6日現在、3月期決算企業の17社が決算短信の公表に至っていない。
GC注記・重要事象の記載を理由別に分類すると、64社(構成比82.0%)が重要・継続的な売上減や損失計上、営業キャッシュ・フローのマイナスなどの「本業不振」が理由。次いで「新型コロナによる悪影響」を理由としたのが25社(同32.0%)と3割を占め、コロナによる業績への悪影響がGC・重要事象企業数を押し上げた。以下、「財務制限条項に抵触」15社、「資金繰り悪化・調達難」が10社と続く。
新型コロナを要因の一つとした25社の業種別では、「小売業」が11社(構成比44.0%)で最多。次いで「サービス業」と「製造業」がともに6社(同24.0%)で続いた。小売業・サービス業の2業種で約7割を占めた。緊急事態宣言による営業自粛要請を受けて、臨時休業した居酒屋などの外食産業をはじめ、アパレル販売、ホテル運営、美容室経営、スーパー銭湯やテーマパーク運営など、消費関連業種の企業を中心に業績悪化が表面化した。
同調査結果は↓