厚生年金保険料等の標準報酬月額の随時改定の特例を新設

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がったときに、一定の条件に該当する場合は、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を翌月から随時改定する特例を新設したことを明らかにした。これは、被保険者本人の事前の同意等を前提として、通常の随時改定(4ヵ月目に改定)によらず、標準報酬月額が2等級以上低下した月の翌月からの改定を可能とするもの。

 例えば、4月から休業手当が支払われた場合、通常であれば4ヵ月目の7月に改定となるが、今回の特例を利用した場合は5月から改定が可能となる。9月以降は原則、定時決定により決定された標準報酬月額となる。ただし、定時決定が行われない7・8月改定の場合は、休業回復後に随時改定の届出が必要となる。また、申請により保険料が遡及して減額した場合、被保険者へ適切に保険料を返還する必要がある。

 対象となるのは、(1)新型コロナウイルス感染症の影響による休業(時間単位を含む)があったことにより、2020年4月から7月までの間に、報酬が著しく低下した月が生じた人、(2)著しく報酬が低下した月に支払われた報酬の総額(1ヵ月分)が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がった人、(3) 本特例措置による改定内容に本人が書面により同意している人、の全てに該当するケースが対象となる。

 (2)では固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象となる。(3)では、被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意(改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金及び年金の額が算出されることへの同意を含む)が必要。同特例措置は、同一の被保険者について複数回申請はできない。対象となる保険料は、2020年4月から7月までの間に休業により報酬等が急減した場合に、その翌月の5月から8月分保険料だ。

 2021年1月末日までに届出があったものが対象となる。それまでの間は遡及して申請が可能だが、給与事務の複雑化や年末調整等への影響を最小限とするため、改定をしようとする場合はできるだけ速やかに提出するよう呼びかけている。申請手続きは、月額変更届(特例改定用)に申立書を添付し管轄の年金事務所に申請。管轄の年金事務所へ郵送又は窓口へ提出する。届書及び申立書については日本年金機構HPからダウンロードできる。

同特例の概要(リーフレット)は↓

https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000643738.pdf