東京商工リサーチがこのほど発表した「2019年合同会社の新設法人調査」結果によると、2019年に全国で設立された法人は13万1292社(前年比1.7%増)で、2年ぶりに前年を上回った。法人格では、トップが「株式会社」の8万8724社(同0.9%増)、次いで、「合同会社」が3万424社(同5.5%増)だった。初めて合同会社が3万社台に乗せ、2019年の新設法人はおよそ4社に1社(構成比23.1%)が「合同会社」を選択した。
「合同会社」は、2006年5月施行の会社法で「有限会社」の廃止で新たに作られた。設立手続きが株式会社など他の法人格に比べて簡単で、費用も安く、設立までの期間も短くて済む。また、株主総会や決算公告の必要がなく、経営の意思決定も迅速にできることが「合同会社」の特徴になっている。このため、太陽光発電所や投資不動産ごとに「合同会社」を設立するケースも目立つ。
「合同会社」の産業別では、10産業のうち、7産業が前年より増加。「不動産業」は、不動産投資の節税目的などで対象物件を「合同会社」で法人化する動きが目立ったが、不動産融資の不正事件と審査厳格化などで2年連続して減少した。構成比は、「サービス業他」が構成比43.8%でトップ。「小売業」も同9.0%で伸長し、身軽で消費者に近い業種の小規模事業者が法人化する際、「合同会社」を選択しているようだ。
「合同会社」の業種別は、「不動産」が4764社(構成比15.6%)でトップ。投資用不動産の不正な融資問題の発覚以降、金融機関の融資審査が厳格化し、前年から20.0%減と法人設立は大幅に減少した。次いで、経営コンサルタントなど「学術研究、専門・技術サービス業」が4553社(同14.9%)で不動産業に肉薄。ソフトウェア業など「情報サービス・制作業」が2965社(同9.7%)、「飲食業」2121社(同6.9%)などだった。
都道府県別では、最多は「東京都」の1万86社(構成比33.1%)と唯一1万社を上回った。次いで、「神奈川県」の2398社(同7.8%)、「大阪府」の2236社(同7.3%)と大都市圏が上位を占めた。増加率トップは、「山梨県」の前年比62.5%増。次いで、「山形県」の同49.3%増、「島根県」の同46.3%増と続く。一方、減少率では、「徳島県」の同14.7%減が最大で、「鳥取県」が同11.7%減、「香川県」が同10.6%減の順だった。
同調査結果は↓