コロナ危機の資金繰り支援で急増する信金の貸出金

 信金中央金庫が発表したニュース&トピックスによると、全国255信用金庫の貸出金合計は、20年5月末に73.9兆円となり、前年同月比3.8%増と急増した。新型コロナウイルス感染拡大に対応した中小企業向け資金繰り資金の急増が要因。3.8%増の伸び率は、1995年9月末(3.8%増)以来の高さだ。貸出金残高の水準(73.9兆円)は、過去のピーク98年12月末(72.84 兆円)を上回った前月4月末(72.85兆円)に続き過去最高を更新した。

 貸出金の伸びが急増するまでの最近数ヵ月間の動きを整理すると、2月下旬以降、国内における危機感が一段と高まり、3月には、信用金庫など民間金融機関による資金繰り支援も本格化。4月以降は、緊急事態宣言による外出や営業の自粛要請に伴い経済活動がさらに縮小した。貸出金が急増した5月には、地方公共団体の制度融資を活用して、信用金庫など民間金融機関でも実質無利子・無担保の融資を受けることができる制度が開始された。

 4月7日の緊急事態宣言で最初に対象となった7都府県、及び4月16日に特定警戒都道府県に指定された6道府県では、5月末の貸出金の前年同月比伸び率は、4%程度にまで高まっている。他方、特定警戒都道府県に指定されていない上記以外の34県でも、5月末に3.2%増にまで伸び率を高めている。特定警戒都道府県への指定にかかわらず、多くの地域で信用金庫による資金繰り支援で貸出金が急増しているといえる。

 4月末までの動きをみても、資金繰り資金の急増がわかる。4月末の貸出金の前年同月比伸び率1.9%増の多くは企業向け運転資金が寄与している。2008年後半のリーマン・ショック時と比較しても、今回のコロナ危機では、短期間で貸出金が急増。また、リーマン・ショック時(08年9月)は、5ヵ月後の09年2月に貸出金の伸びが2.6%増で最も高くなっているが、20 年5月末の伸び率はこの水準をすでに大きく上回っている。

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