帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、5月の倒産件数は288件で、前月比は▲62.0%減少、前年同月比でも▲55.6%の大幅減少、9ヵ月ぶりの前年同月比マイナスに転じ、2000年以降最少となった。これは、緊急事態宣言の発令に伴い、弁護士事務所や裁判所の業務縮小で、法的整理手続きが滞留したことなどから大幅減少につながったとみられる。
一方、負債総額は711億3100万円(前月1614億6700万円、前年同月982億8600万円)となり、前月比では▲55.9%の大幅減少、前年同月比でも▲27.6%の減少となって、3ヵ月ぶりに前年同月を下回った。負債トップは、2019年1月以来、1年4ヵ月ぶりに発生した上場企業倒産となる東証1部上場のアパレルメーカー、(株)レナウン(東京都、民事再生)の負債約138億7900万円だった。
倒産件数を業種別にみると、7業種中全てで前年同月を下回った。全業種の減少は2019年5月以来、1年ぶり。なかでも建設業(36件)、製造業(32件)、卸売業(53件)、不動産業(5件)の4業種は2000年以降で最少となった。件数全体が大幅減少のなか、新型コロナウイルスの影響で予約キャンセルが相次いだ宿泊業(12件、前年同月比140.0%増)など、一部増加傾向が続いた業種も散見された。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は149件(前年同月比▲61.5%減)で、構成比は51.7%を占め、依然として小規模倒産が大半を占める傾向が続いた。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満(個人事業主を含む)の合計が187件(同▲56.5%減)で構成比は64.9%と高水準で推移した。負債5000万円未満の倒産では、小売業(40件)が構成比26.8%を占め最多、サービス業(38件)が同25.5%で続く。
地域別にみると、9地域中8地域で前年同月を下回った。なかでも北海道(9件)、東北(14件)、中部(41件)、近畿(52件)の4地域は2000年以降で最少となった。近畿(前年同月比69.6%減)は、大阪府(28件、同73.6%減)や兵庫県(8件、同77.1%減)で大幅減少となり、全業種で減少。関東(90件、同58.3%減)は、1都6県全てで減少し、東京都(46件、同60.7%減)は2000年以降で最少となった。
同倒産状況の概要は↓