20年度設備投資、52.8%が計画も前年から大幅減少

 帝国データバンクがこのほど発表した「2020年度の設備投資に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1961社)によると、2020年度に設備投資を実施する予定(計画)が「ある」企業は52.8%となり、前回調査(2019 年4月実施)から9.5ポイントの大幅減少となった。内訳は、「すでに実施」が6.3%、「予定」が27.4%、「実施を検討中」が19.1%。他方、「予定していない」は38.0%で、同8.4ポイント増加した。

 設備投資の予定(計画)が「ある」企業を規模別にみると、「大企業」が63.0%、「中小企業」が50.7%、「小規模企業」が40.4%となった。特に「小規模企業」では「大企業」を22.6ポイント下回るなど、設備投資への意欲は企業規模による差が顕著に表れている。業界別では、「農・林・水産」(前年比14.0 ポイント減)、「製造」(同11.6ポイント減)、「卸売」(同11.1 ポイント減)、「小売」(同10.7 ポイント減)の減少幅が大きい。

 予定している設備投資の内容(複数回答)は、「設備の代替」が40.4%でトップ、次いで、「既存設備の維持・補修」(31.5%)や「情報化(IT 化)関連」(31.2%)、「省力化・合理化」(28.5%)が続いた。既にある設備の更新や維持・補修に関する項目では高水準ながら減少したものの、生産性向上に向けた設備投資は増加している。外出自粛が続くなか、テレワークの導入を行うという意見が多く聞かれた。

 主な資金調達方法は、「自己資金」が44.2%でトップ。また、「金融機関からの長期の借り入れ」(31.3%)や「金融機関からの短期の借入」(5.6%)を含め、企業の8割超が自己資金や金融機関からの借入れによって資金調達をしている結果となった。自己資金の活用は従業員数が300人を超える企業で多く、銀行からの借入れは中小企業で多い。また、補助金の利用は低水準ではあるものの、従業員数が少ない企業ほど割合が高い。

 設備投資を「予定していない」企業が設備投資を行わない理由(複数回答)については、「先行きが見通せない」が64.4%でトップ、次いで、「現状で設備は適正水準である」(25.3%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.1%)が続いた。特に中小企業では、「投資に見合う収益を確保できない」や、「借入れ負担が大きい」、「手持ち現金が少ない」などの割合が大企業より高く、現状の経営環境の厳しさが表れている。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200506.pdf