東京商工リサーチが15日に発表した「新型コロナウイルス」関連倒産状況によると、5月15日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たんは全国で153件(倒産102件、弁護士一任・準備中51件)に達した。「新型コロナ」関連の経営破たんは、2月2件、3月23件だったが、4月は84件に急増。さらに、5月も大型連休を挟んで15日までに44件が発生し、月間100件に迫る勢いで推移している。
都道府県別では、15日に岩手県で初の倒産が発生、40都道府県に拡大した。「東京都」が33件(倒産29件、準備中4件)で最多。次いで、「北海道」14件(同14件、同ゼロ)、「大阪府」13件(同6件、同7件)、「静岡県」9件と続く。業種別では、最多が「宿泊業」の30件(同19件、同11件)。インバウンド消失に加え、国内旅行や出張の自粛でキャンセルが相次ぎ、温泉旅館やホテルの破たんが増えた。
次いで、緊急事態宣言で、来店客の減少や臨時休業が響いた「飲食業」が24件(倒産14件、準備中10件)、「アパレル関連」が20件(同11件、同9件)など。BtoC関連業種の経営破たんの上位を占める。経営破たんの企業は、人手不足や消費増税(2019年10月)などもともと経営が苦しい企業が多い。そこに新型コロナ感染拡大で業績が急激に悪化し、資金繰りに行き詰まるケースが目立つ。
また、倒産集計の対象外だが、先行きを見通せず、支援策などによる新たな借入を起こさず、事業継続を断念して廃業を決断する小・零細企業や商店も多いとみられる。14日、39県で緊急事態宣言が解除されたが、小・零細企業、中小企業は緊急避難的に融資や返済猶予に依存せざるを得ないだけに、持続的な支援体制の確立を急がれる。なお、企業倒産は、負債1000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
15日の主な倒産事例をみると、岩手県初の「新型コロナウイルス」関連倒産となった衣料品販売(株)モードカマタは、新型コロナ感染拡大に伴う来店客の減少などから3月末をもって店舗を閉鎖し、破産を申請した。印刷用紙の販売を手掛けていた(有)北村紙店(東京都)は、同人誌即売会のコミックマーケットのイベント中止などで受注キャンセルが相次ぎ、5月14日に破産開始決定を受けた。