一般社団法人日本フードサービス協会が協会会員社を対象に実施した「外食産業市場動向調査」結果(有効回答数203社、約3万9千店舗)によると、3月は、外食産業も新型コロナウイルスの影響を大きく受けることになり、全ての業態の売上が前年同月に比べて大きく減少した。2月最終週の政府による大規模イベントなどの自粛要請以降、店内飲食の客数が繁華街立地、ディナー時間帯、土日祝日での減少が顕著となった。
居酒屋・ディナーレストランなど飲酒業態を中心に、ファミリーレストラン、大型商業施設のフードコートなどの売上に大きな打撃となった。特に東京都から「週末の外出自粛」要請が出された3月下旬に一段と客足が落ち、3月の外食の全体売上は▲17.3%と東日本大震災の減少幅(▲10.3%)を上回る減少となった。政府が「緊急事態宣言」を発令した4月は、店舗の「休業」・「営業時間短縮」が相次いでおり、3月以上の落込みが予想される。
3月の動向を業態別にみると、「ファーストフード」は、引き続き、テイクアウト、宅配、ドライブスルーなど、「持ち帰り」需要が下支えしたが、商業施設のフードコートをはじめ店内飲食の客数が振るわず、全体売上は▲6.9%と前年同月を下回った。「洋風」、「和風」、「その他」は店内飲食の減少を、持帰りが下支えし、それぞれ売上は▲0.9%、▲7.2%、▲9.3%。「麺類」は、商業施設立地の落込みが大きく、売上▲18.6%となった。
「ファミリーレストラン」は、全体の売上が▲21.2%と前年同月を大幅に下回った。「洋風」と「和風」は、月後半にかけて客数が一段と下がり、売上はそれぞれ▲25.0%、▲30.4%と前年同月から大きく減少。「中華」は、餃子などのテイクアウト・デリバリーが下支えとなり、売上は▲9.6%。これまで好調を続けてきた「焼き肉」もついに前年同月を下回り、売上は▲6.7%となった。
「パブ・居酒屋」などの飲酒業態は、本来は送迎会シーズンの宴会需要が大きいはずだが、今年はキャンセルが相次いだ。郊外立地や地域密着店などでは当初比較的下げ幅が小さい店も一部あったが、2月最終週の政府の自粛要請のよる落込みと、3月下旬の東京都の「週末の外出自粛」要請による2段階の落込みで、軒並み売上は下がり、「パブ・ビアホール」は前年同月の半分にとどかず、売上▲53.5%、「居酒屋」は売上▲41.4%となった。
そのほか、「ディナーレストラン」は、繁華街立地の店の一部では集客がほぼない日があるなど、休業や時間短縮を余儀なくされる店も増えて、売上は▲40.5%となった。「喫茶」業態は、新型コロナの影響で、商業施設立地店の落込みが大きかったうえ、路面店でも客足が落ち、売上は▲24.7%となった。
同調査結果は↓