全国で61件に達した「新型コロナ」関連の経営破たん

 東京商工リサーチが発表した「新型コロナウイルス」関連倒産状況によると、4月15日17:00現在、「新型コロナ」関連の経営破たんは全国で61件に達したことが分かった(倒産34件、弁護士一任・準備中27件)。都道府県別の経営破たんは、最多が「東京都」の11件(倒産10件、準備中1件)、次いで、「北海道」8件(同7件、同1件)、「兵庫県」4件、「静岡県」・「大阪府」・「福岡県」が各3件など、29都道府県に広がっている。

 業種別では、「宿泊業」14件(倒産7件、準備中7件)、「飲食業」7件(同4件、同3件)と2業種に集中。ただ、外出自粛が浸透するにつれて、来店客が減少した小売業や販売不振が深刻な食品製造業、アパレル販売など、インバウンド依存の業種や消費者対象業種の小・零細企業を中心に広がっている。イベント自粛だけでなく、人が集まる葬儀の手控えも増えたことで、葬儀業やケータリングサービス業でも経営破たんが発生した。

また、小・中学校で新学期の開始が延期され、給食向け食材の製造・販売の落込みで倒産した企業も出てきた。製造業では、管材・住宅設備機器卸業やゴム風船メーカーで、海外から原材料の仕入れが困難になって経営破たんした企業や、「新型コロナ」の影響により取引先で経営が悪化した韓国企業からの入金遅れで資金繰りに行き詰まり、民事再生法を申請した企業もある。

 感染拡大の収束が見えないなか、外出自粛や休業要請の広がりで経営体質がぜい弱な小・零細企業は日ごとに疲弊が進んでいる。売上減少が長期化すると、手元資金に乏しい中堅クラスでも資金繰りに行き詰まる可能性があり、経営破たんのピッチがさらに上がることが危惧される。経営破たん(判明分)を月別にみると、2月は2件、3月は23件だったが、4月に入ると急増し、4月は15日までに3月を上回る36件に急増している。

  もともと業績不振の中小・零細企業が多く、新型コロナの影響で業績悪化が加速し、経営破たんに至ったケースが大半を占めている。経営破たんの事例では、鹿児島県初の破たんとなった割烹旅館の老舗「安藤」は、宿泊、宴会で多数のキャンセルが発生、営業継続が困難に。また、手ぬぐい専門店を都心部などに出店し、知名度も高かった「グラフィカ」は、感染防止のため都内の店舗ビルが閉鎖されるなど、売上減少に陥り破産を申請した。