4月から賃金請求権の消滅時効が5年に延長~厚労省

 厚生労働省は、4月1日に施行された改正労働基準法について、リーフレットやQ&Aを公表して周知を図っている。主な改正内容は、4月1日以降に支払われる全ての労働者の賃金請求権についての消滅時効期間を2年から5年に延長しつつ、当分の間はその期間が3年となる。また、賃金台帳などの記録の保存期間も原則5年に延長しつつ、当分の間3年とする。退職金請求権の消滅時効期間の5年に変更はない。

 賃金請求権の消滅時効期間が賃金支払期日から5年に延長されるが、時効期間延長の対象となるものとしては、金品の返還(労基法23条、賃金の請求に限る)、賃金の支払(労基法24条) 非常時払(労基法25条)、休業手当(労基法26条) 出来高払制の保障給(労基法27条)、時間外・休日労働等に対する割増賃金(労基法37条)、年次有給休暇中の賃金(労基法39条9項) 未成年者の賃金(労基法59条)が挙げられている。

 また、賃金台帳等の記録の保存期間延長の対象となるものとしては、(1)労働者名簿、(2)賃金台帳、(3)雇入れに関する書類(雇入決定関係書類、契約書、労働条件通知書、履歴書など)、(4)解雇に関する書類(解雇決定関係書類、予告手当または退職手当の領収書など)、(5)災害補償に関する書類(診断書、補償の支払、領収関係書類など)、(6)賃金に関する書類(賃金決定関係書類、昇給減給関係書類など)がある。

 さらに、(7)その他の労働関係に関する重要な書類(出勤簿、タイムカードなどの記録、労使協定の協定書、各種許認可書、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類、退職関係書類など)、(8)労働基準法施行規則・労働時間等設定改善法施行規則で保存期間が定められている記録)が示されている。起算日の明確化を行う記録は、このうち賃金の支払いに係るものに限られる。

 そのほか、4月1日以降に、割増賃金等の支払がされなかったなどの違反があった場合、付加金を請求できる期間を5年(これまでは2年)に延長しつつ、当分の間はその期間は3年となる。付加金制度の対象となるものは、解雇予告手当、休業手当、割増賃金、年次有給休暇中の賃金だ。付加金とは、裁判所が、労働者の請求により、事業主に対して未払賃金に加えて支払を命じることができるものである。

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