新型コロナ感染拡大に伴う資金繰り支援策~信金中金

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、幅広い業種の中小企業に及んでいる。信金中央金庫では、多くの中小企業にとって喫緊の課題となっている資金繰りに関して、支援策の現状と見通しをまとめた。それによると、政府が3月10日に公表した「新型コロナウイルス感染症緊急対策第2弾」では、業況が悪化した事業者を対象に、政府系金融機関である日本政策金融公庫等による「新型コロナウイルス感染症特別貸付」が創設された。

 併せて、フリーランスを含む個人事業主、売上が急減した事業者に対して利子補給を行う「特別利子補給制度」が設けられたことで、実質的な「無利子融資」が導入されている。また、信用保証制度では、一般保証とは別枠のセーフティネット保証経営安定関連保証が拡充されている。自然災害を要件として100%保証となるセーフティネット保証4号では3月2日に全都道府県 が地域指定された。

 また、業種が指定されているセーフティネット保証5号では対象業種が順次拡大されている。さらに、リーマンショックや東日本大震災時等のような全国的な信用収縮を想定して制度化された「危機関連保証」(100%保証)が初めて発動された。こうした全国的な支援制度拡充のほか、多くの市区町村の制度融資においても、資金繰り支援のための緊急対応が図られている。

 なかには、利子や信用保証協会の保証料を補助するものもあり、事業者が実質的に無利子かそれに近い金利負担で利用できる場合もある。ただ、現時点では、民間金融機関が日本公庫等の実質的な「無利子融資」に金利面で対抗することは容易ではない。このため、信用金庫の取引先から、日本公庫等の特別貸付に関する相談があった場合は、日本公庫窓口の紹介や必要書類の確認等を行っている信用金庫もあるものと思われる。

 ただし、今後については、「民間金融機関でも無利子の制度融資を受けることができる制度」の創設が見込まれている。安倍首相は、3月28日の会見で「中小・小規模事業者には、既に実質無利子・無担保、最大5年間元本返済据置きという大胆な資金繰り支援策を講じてきたところだが、この無利子融資を民間金融機関でも受けられるようにする」と述べており、信用金庫でも制度融資を利用した実質的な「無利子融資」が可能になる見込みだ。

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https://www.scbri.jp/PDFnews&topics/20200402.pdf