葬儀業2163社の17年度年収入高、前年度比1.0%増

 帝国データバンクがこのほど発表した「葬儀業者2163社の経営実態調査」結果によると、国内葬儀業者のうち、2014年度~2017年度決算の年収入高が判明した2163社の収入高合計の比較では、2017年度は約9115億2600万円となり、前年度比1.0%の増収となった。死亡者数と比例して葬儀件数は増加しているものの、核家族化による家族葬の需要拡大で参列者数の減少や祭壇の簡略化など葬儀が小型化している。

 大手葬儀業者によると地域差や規模によって異なるが、葬儀費用の平均は約200万円。首都圏での「一般葬」の平均単価は約150万円で、「家族葬」であれば約100万円以下が多いという。首都圏はほかのエリアに比べて地価と比例して割高で、東京、埼玉、神奈川では火葬場が民間の地域があり、金額差が出るケースもある。近年では葬儀費用1000万円を超える社葬が大幅に減少しているほか、同業との競合も厳しく、受注単価が下落している。

 収入高規模別でみると「100億円以上」が約1880億9600万円となり、前年度比5.6%の増加となった。大手は知名度による受注増加に加え、同業間でのM&Aで売上拡大につながった企業が多かった。一方、「1億円未満」の小規模事業者は、家族葬に特化する業者が増えているものの、大手の新規参入によって受注単価が下がった影響で、減収となった企業が散見されている。

 2163社の収入高合計を本社の所在地域別でみると、9地域中「近畿」(7.6%増)、「東北」(1.8%増)など5地域で2017年度の年収入高が前度比増加となり、「近畿」の増加率が最大となった。「近畿」は、(株)ユニクエスト(大阪市)の会計基準の変更やマスメディア効果による受注件数の増加で大幅な増収となったほか、大手葬儀施設の新規出店や広告出稿など積極的な営業展開が奏功したことが押し上げ要因となった。

 一方、「四国」(▲2.4%)、「北陸」(▲0.5%)、「関東」(▲0.4%)など4地域の収入高は減少。1件当たりの葬儀件数の伸び悩みに加え、会葬用ギフトの低迷が背景にある。高齢者の数は増加傾向にあるが、墓地が高額な「関東」を中心に、葬儀や告別式を省略し火葬する「直葬」のシェアが増加している。葬儀業者によると、納骨をせずに自宅に遺骨を置く世帯が増えており、東京だけで100万世帯にのぼるという。

 同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180907.pdf