一般社団法人アート東京が発表した「日本のアート産業に関する市場調査2019」結果(有効回答数2万3280人)によると、日本全体の美術品市場規模は2580億円と推計した。昨年からの伸び率は4.9%となり、2016年の同調査開始以来最も大きくなった。(2016年2431 億円、2017年2437億円、2018年2460億円) 。これは、アート産業に関する市場規模として古美術や洋画・彫刻・現代美術などの「美術品市場」を2580億円と推計したもの。
合わせて、グッズやカタログなどの「美術関連品市場」が491億円、美術館入場料や日本各地で開催される芸術祭消費額を含む「美術関連サービス市場」が519億円となり、3つの市場を対象とした総額は推計3590億円となった。美術品市場2580億円を販売チャネル別にみると、「国内画廊・ギャラリー」が982億円、次いで「百貨店」の567億円が2大チャネル。続く「インターネットサイト」が192億円で増加傾向にある。
ジャンル別の美術品の市場規模は、「日本画」が513億円と最も大きく、次いで「洋画」(434億円)、「陶芸」(382億円)、「現代美術(平面)」(317億円)に、「版画」(259億円)が続き、日本の美術品市場は日本画、洋画、陶芸、現代美術、工芸、書など、多様なジャンルや時代の美術品によって支えられている市場であることが、改めて分かる。また、グッズなど美術関連品は 491 億円となっている。
「アート産業に関する市場規模」の主要要素についてこの4年間の調査結果の推移をみると、2019年の「アート産業」(美術品市場+美術関連品市場+美術関連サービス市場)の市場規模は昨年より増加した3590億円と、調査開始以来最大となった。画廊・ギャラリーからの購入の増加が大きく伸びる一方、百貨店からの購入は減少傾向となった。また、美術館・博物館入場料、美術関連品市場は、この4年間で最大となっている。
なお、人々が考える「美術品を鑑賞することによるプラスの効果」については、「リラックス・気分転換・ストレスの軽減」(64%)、「教養の習得」(59%)などの割合が高く、「日本・他国の文化の認識・理解」(56%)、「創造力の養成」(54%)、「自身の嗜好の認識・理解」(54%)なども半数以上が効果ありと考えている。一方で、「ビジネス上のコミュニケーションの促進」(21%)については効果がないと思う割合が比較的多くなった。
同調査結果は↓