東京商工リサーチが発表した「国内銀行110行の『総資金利ざや』調査」結果によると、国内銀行110行の9月中間決算期の「総資金利ざや(中央値)」は0.15%だった。前年同期の0.15%と同水準で、9月中間期としては2010年以降、過去最低の2016年の0.12%に次ぐ2番目の低水準。9月中間期では2010年の0.25%以降、右肩下がりをたどり、2014年には0.16%まで低下。その後、増減を繰り返し、2018年以降は低水準で推移している。
「資金運用利回り」が低下を続けたことで、金融機関は貸家向け不動産貸出やカードローンなど、貸出金利が高く、また貸出金額が膨らむ融資に注力した。一方で、経費削減を進め「資金調達原価」の圧縮にも取り組み、2017年9月中間期の「総資金利ざや」は一旦上昇した。だが、その後は「資金調達原価」の圧縮以上に「資金運用利回り」の低下が加速したため、再び「総資金利ざや」は低水準にとどまっている。
110行のうち、2019年9月中間期の「総資金利ざや」が前年同期より上昇したのは38行で、前年同期の67行を大幅に下回った。この38行のうち、20行は、「資金運用利回り」が縮小したが、「資金調達原価」の低下で「総資金利ざや」が上昇。「資金運用利回り」の中央値は1.00%で、前年同期より0.06ポイント低下。110行のうち、89行で、「資金運用利回り」が低下。一方、「資金調達原価」の中央値は0.88%で、同0.03ポイント低下した。
110行の2019年9月中間期で「総資金利ざや」がマイナスになった「逆ざや」は17行で、9月中間期では2010年以降の10年間で3番目に多かった。9月中間期での「逆ざや」は、2016年2月のマイナス金利の導入後の2016年と2017年は19行と、2010年以降で最多を記録。2018年は14行に減少したが、2019年は低金利と金利収入を稼げた不動産向け貸出等を抑制したことで収益環境が厳しさを増し、「逆ざや」は17行に増加した。
地区別では、「総資金利ざや」が最も高かったのは、「九州」(21行)の0.21%。次いで、「中国」(9行)の0.20%、「北海道」(2行)と「関東」(17行)の各0.19%、「北陸」(6行)と「近畿」(10行)の各0.16%の順。10地区のうち、「総資金利ざや」上昇は、「中部」と「近畿」の2地区で、ともに前年同期比0.03ポイント上昇。低下は、「東京」(▲0.08ポイント)、「九州」(▲0.06ポイント)、「四国」(▲0.03ポイント)など7地区だった。
同調査結果は↓