GS経営業者の2017年度売上高合計、3年ぶり増加

 日本国内の人口減少や自動車の燃費性能の向上などにより、ガソリンの需要が年々縮小傾向にあるなか、全国のガソリンスタンド数も減少が続いている。資源エネルギー庁の調査では、2017年度末時点で3万747件と、23年連続の減少となった。そうしたなか、帝国データバンクがこのほど発表した「ガソリンスタンド(GS)経営業者の実態調査」では、GS経営業者の2017年度売上高の合計が3年ぶりに増加したことが分かった。

 調査結果によると、GS経営を主業とする企業(8581 社)の過去10年間の売上高合計の推移は、リーマンショックなどの影響を受けた2009年度に前年度比17.5%減となったのち、2010~2014年度にかけて5年連続で増加。2014年度は10兆2471億2600万円と、過去10年間でピークとなった。2015~2016年度にかけては2年連続の減少となったが、2017年度は前年度比7.2%増の8兆8660億3300万円と、3年ぶりの増加となった。

 年商規模別にみると、「1億~10億円未満」が5657社(構成比66.0%)で最多、「1億円未満」が1907社(同22.2%)で続く。2017年度の売上高動向をみると、増収の構成比は年商「50億~100億円未満」で90.4%、「100億円以上」で87.4%を占めた。減収は年商「10億円未満」で構成比が高く、特に「1億円未満」では増収の構成比15.5%に対し減収は22.8%と、減収が増収を上回る結果となった。

 また、2000年度以降のガソリンスタンド経営業者の倒産件数推移(法的整理のみ)をみると、2008年度(65件)にピークを迎え、以降は減少基調となっている。特に2016年度(28件)、2017年度(30件)はピーク時の2分の1以下となるなど、近年の倒産件数は抑制された状態が続く。なお、2018年度4~8月の倒産件数は前年同期比200.0%増の15件となっており、今後の動向が注目される。

 このように、ガソリンスタンド経営業者の倒産件数は前年度を上回るペースで推移。特に小規模企業ではスタンド同士の競争激化のなか、販売価格への転嫁が進まず、収益改善に至らないケースもみられる。今後は、人件費の高騰も重なり、経営環境が一層厳しくなることが想定される。ガソリンスタンド経営業者の動向は過疎地域におけるインフラ機能維持の観点からも重要な問題であり、今後も注視していく必要があると言える。

 同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180908.pdf