働き方改革実施企業は約9割も効果実感するのは半数

 デロイトトーマツが発表した「働き方改革の実態調査2020」結果(有効回答数277社)によると、「働き方改革を推進中」(20%)、「実施した」(69%)と回答した企業の割合は約9割に達し、調査開始時の2013年(30%)から大幅に増加、2017年と比較しても16ポイント増加しており、働き方改革の着手はほぼ一巡している。また、2割が働き方改革を「実施した」と回答、働き方改革を終えたとみられる企業も2017年(10%)から倍増した。

 一方で、働き方改革の各目的に対して「効果を実感(部分的を含む)」している割合は53%と半数程度にとどまる結果となり、企業の働き方改革はまだ道半ばというのが実態である。働き方改革を実施する目的について企業は、「従業員満足度の向上・リテンション」(88%)を最も挙げており、続いて「多様な人材の維持獲得、D&I促進」(67%)、「採用競争力強化」「コンプライアンス対応」(50%)が最も多い結果となった。

 企業が実際に検討している施策の上位5位をみると、「長時間労働の是正」が95%とほぼ全ての企業が検討しており、働き方改革関連法の施行などを背景に取組みが推進されていることが分かる。次に、「業務プロセス・ルールの見直し」(59%)など生産性向上に向けた既存業務の効率化が挙げられた。「オフィス外勤務の促進」(57%)、「組織風土改革」(46%)、「オフィス環境の整備」(45%)といった多様な働き方を推進する施策も上位となった。

 働き方改革の自社施策全体に効果を実感している企業が半数なのに対し、目的別の効果実感割合はまばらという結果になった。残業時間に制限を設けるなどの「コンプライアンス対応」は80%が効果を実感も、働き方改革の目的として最も挙げられた「従業員満足度の向上・リテンション」は61%、「多様な人材の維持獲得、D&I促進」も54%、「採用競争力強化」は48%と、重視されている目的でも効果がまだ実感されていないものもある。

 ほかに効果実感割合が高い目的には「デジタルトランスフォーメーション推進」(64%)や「セキュリティリスク低減」(61%)など、テクノロジーを活用したものも見られるが、これらを働き方改革の目的としての重視企業は全体のうちわずかで、企業によって検討している施策が大きく異なる。今回の調査結果から、企業は働き方改革の必要性を理解し取組みを実施しているが、施策内容と効果実感割合にはまだバラつきがあることが分かった。

 同調査結果は↓

https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/about-deloitte/news-releases/jp-nr-nr20200205.pdf