労務行政研究所が毎年発表している「賃上げに関するアンケート調査」結果によると、2020年の賃上げ見通しは、全回答者452人の平均で6495円・2.05%(定昇分含む)となった。厚生労働省の主要企業の昨2019年賃上げ実績(6790円・2.18%)は下回るが、賃上げ率は7年連続で2%台に乗るとの予測。同調査は、1月20日までに回答があった労働側207人、経営側124人、労働経済分野の専門家121人の計452人の回答を集計したもの。
主要企業の賃上げ率が2%台に乗った2014年以降でみると、同調査における予測値では2017年の2.00%に次いで低い水準。賃上げ率の分布は、労使とも「2.0~2.1%」が最も多く(労働側45.9%、経営側51.6%)、「2.2~2.3%」が労働側9.7%、経営側16.1%と続く。労使別にみた平均値は、労働側が6639円・2.10%、経営側が6440円・2.03%となり、両者の見通しの差は199円・0.07ポイントと、労働側が経営側を上回っている。
また、自社における2020年の定昇については、労働側85.5%、経営側84.7%が「実施すべき」、「実施する予定」と回答。経営側の「実施しない(凍結する)予定」は1.6%にとどまった。一方、ベースアップは、経営側では「実施する予定」16.9%、「実施しない予定」49.2%%となった。労働側では、ベアを「実施すべき」が68.6%と3分の2以上を占め、ベアに対する労使の見解には大きな違いがある。
経営側に、自社における2019年のベアの実績を尋ねたところ、「実施した」48.4%、「実施しなかった」46.8%と均衡している。2019年の実績と2020年の予定を併せてみると、両年とも“実施しない”が37.9%で最も多く、両年とも“実施”は16.9%となっている。また、2019年に実施した企業のうち、2020年は「実施しない予定」が10.5%、「検討中」が14.5%となっている。
なお、春季労使交渉に関する話題として2020年4月(中小企業は21年4月)より施行される“同一労働同一賃金”があるが、これに向けた経営側の対応状況をみると、「既に対応済み」が11.6%、「既に対応方針が固まっており、今後対応する予定」が36.1%となり、対応に向けた取組みが進んでいる企業が半数近くとなった。一方で、「議論・検討を行っているが、対応方針は定まっていない」も34.8%と約3分の1にのぼる。
同アンケート調査結果の詳細は↓