日本経団連が21日に発表した「2019年1~6月実施分の昇給・ベースアップ実施状況調査」結果(有効回答数486社)によると、賃金決定にあたって主として考慮した要素(2つ回答)は、「企業業績」が6割超(63.6%)と最も高い傾向に変化はない。しかし、2番目に多い「世間相場」(42.1%)は2017年(50.0%)から3年連続で減少した一方、「人材確保・定着率の向上」(31.1%)は、2009年(6.0%)から増加傾向にある。
人手不足が深刻化していることを受けて、企業業績など自社の状況を重視しながら、人材確保・定着を図ろうとする企業が増えている。また、「昇給・ベアともに実施」した企業は、2014年以降、5~6割で推移、2019年は62.0%だった。これに「昇給実施(ベアなし)」と合わせると、2014年から6年連続で本項目に回答した全ての企業が定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給、ベースアップなどの方法により、月例賃金の引上げを実施している。
月例賃金の引上げ額・率は7179円・2.32%で、2年連続で7000円を超え、2.3%を上回った。2014年を境として、金額は7000円前後、率は2.2~2.4%の高水準で推移している。 昇給とベースアップの区別のある企業における月例賃金引上げ額・率(7137円・2.31%)の内訳をみると、昇給が5984円・1.94%、ベースアップが1153円・0.37%だった。ベア分は2018年に続いて1000円を上回った。
月例賃金の引上げ額の分布状況をみると、「6000円台」(19.0%)、「5000円台」(17.9%)が多い傾向に変わりはないものの、その比率はどちらも2018年よりやや高まった。「7000円台」(11.9%)は3.8ポイント減少し、「8000円台」(12.7%)が上回った。また、1万円以上の分布は、「1万~1万1000円」が2.6%、「1万5000円以上」が4.5%など、合計は13.1%で、前年(11.9%)と比べて1.2ポイントのプラスとなった。
同調査結果は↓