東京商工リサーチが7日に発表した「2019年の理容業・美容業倒産動向調査」結果によると、2019年(速報ベース)の「理容業・美容業」倒産は、バブル末期の1989年以降の30年間で最多の119件に達した。これまで過去最多だった2011年の118件を8年ぶりに上回った。件数は2016年の82件から4年連続で増加し、増勢が強まっている。
2019年の理容業の倒産は14件(前年比6.6%減)で前年から1件減少したが、美容業は105件(同10.5%増)と大幅に増加し、明暗を分けた。理・美容業は、大都市を中心に店舗が乱立し、過当競争が続く。人口減少や顧客の高齢化などで顧客囲い込みが激しさを増すなか、1000円カットなど低価格チェーンも台頭し競争が過熱化している。
理・美容業は小資本でも独立できる業界なため、参入障壁も低く、既存店舗と相次ぐ新規参入組との間で熾烈な競争が繰り広げられている。生き残り競争には、新規顧客の獲得に向けたPRやクーポンなどのアイデアだけでなく、技術や価格競争力も必要になっている。また、予約システム、顧客のヘアーデザインのデータ化など、顧客獲得にはIT化と利便性も求められる時代を迎えている。
倒産ではないが、事業停止した休廃業・解散も2018年は317件(前年264件)と増加した。1社で複数店舗を経営しているケースも多く、店舗数ではかなりの数が休廃業・解散で閉店し、一般的な閉店も含めると数千店舗に達する可能性もある。経営者の高齢化や人材確保の問題などの問題もあり、理・美容業は小・零細規模を中心に淘汰を余儀なくされている。「理容業・美容業」の倒産は、今後も増加する可能性が高まっている。