売上高1兆円以上企業の社長の報酬総額は9946万円

 デロイトトーマツグループが本年7月から9月にかけて実施した、日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度の導入及びコーポレートガバナンスへの対応状況の実態調査『役員報酬サーベイ(2019年度版)』結果(有効回答数928社)によると、売上高1兆円以上の企業における社長の報酬総額は中央値で9946万円となり、前年の9855万円と比較し+0.9%となったことが分かった。

 また、明文化された役員評価制度を有する企業は、全参加企業のうち24.6%だった。明確な評価制度は存在しないものの、何らかの評価基準が存在する企業は42.1%で、合わせて7割に近い(66.7%)の企業において役員の評価施策が実施されており、昨年の51.9%より14.8ポイント増加している。短期インセンティブ報酬を採用している企業の割合は約7割(69.8%)と昨年の水準とほぼ変わっていない。

 一方で、採用されている短期インセンティブ報酬の種類は、前年の業績等に応じて翌年の定期同額給与に反映する「変動報酬の固定報酬化」の導入企業割合が対前年比7ポイント減少に対し「業績連動給与」の割合が6ポイント増加など、年に一度まとまった報酬を支給する制度へシフトする企業が見られる。ただし、昨年度に引き続き「損金不算入型の賞与」の導入企業が最多で、多くの企業が設計の柔軟性を重視した制度を採用している。

 株式関連報酬(長期インセンティブ報酬)を採用している企業の割合は60.2%と昨年から15.3ポイント増加。採用されている長期インセンティブ報酬の種類では、「株式交付信託(信託の設定による株式付与)」が、昨年首位だった「通常ストックオプション」を抜いて最多。また、「譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)」の導入企業数は昨年から6.1ポイント上昇し、引き続き譲渡制限付株式と株式交付信託の導入が進むと見込まれる。

 コーポレートガバナンスでは、指名委員会等設置会社を除く910社のうち、任意の報酬委員会を設置している企業の割合は49.0%と前年より9ポイント増加、任意の指名委員会を設置している企業の割合は42.9%と同約9ポイント増加。ただし、年間開催回数は、ともに年1~2回の企業が半数以上を占め、昨年度の水準(報酬委員会で54.5%、指名委員会で52.1%)から大きな変動は見られず、形式的な議論にとどまっている可能性がある。

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