パーソル総合研究所がこのほど発表した「外国人雇用に関する企業の意識・実態調査」結果(有効回答数1000社)によると、正社員の場合、日本人と同じ職種であっても、外国人の平均月収は4.6万円安く、外国人と日本人の賃金格差が明らかになった。技能実習生の場合、同じ職務であっても日本人より低水準の給与と回答した雇用主は46.7%にのぼる。正社員の場合は18.6%、パート・アルバイトの場合は25.7%が低水準の給与と回答。
日本人正社員の離職率に比べて外国人正社員の離職率が高いか低いかで企業群を分けた場合、外国人の離職率のほうが高い企業群では、日本人より外国人のほうが平均月収で10.6万円安かった。一方、低い企業群では外国人の方が平均月収で1.9万円の安さにとどまった(全体平均は月給4.6万円の格差)。また、「すでに外国人を雇用している企業」(1000社)では、外国人雇用をさらに拡大する意向が約7割に達する。
人材確保のための18の対策を選択肢として挙げ、企業の優先度の割合が高かった選択順にランキング化すると、「すでに外国人を雇用している企業」では41.2%もの企業が「外国人採用・活用強化」を高い優先度とし、ランキング1位となった。一方、「現在は外国人を雇用しておらず、今後外国人雇用を検討している段階の企業」(500社)では9.2%の企業だけが「外国人採用・活用強化」を高い優先度とし、12位にとどまった。
2019年4月の改正入管法施行により、14業種では新しい在留資格「特定技能」で外国人を雇用できるようになった。しかし、特定技能の雇用について14業種に属する企業に聞いたところ、「検討していない」45.2%、「よく知らない」18.4%となり、計63.6%の企業が消極的だった。すでに特定技能で雇用しているのはわずか2.4%、検討しているのは34.0%にとどまっている。
パーソル総研は、「これまで人材の送出国だったアジアの国でも高齢化社会に向かう国が増えるなか、人材確保は年々難しくなっている。グローバルな人材獲得競争が激化するなか、出遅れている企業は危機感を持つべき。外国人雇用に取り組まなければ採用や人材定着のノウハウが蓄積されず、自社が望むレベルの人材を確保できない可能性が高い。すぐに採用まで至らなくとも、手遅れになる前に早く動きだすべき」とコメントしている。
同調査結果は↓