無借金企業は8万4千社、4社に1社が借入金ゼロ

 東京商工リサーチの保有する約34万社の財務データから、無借金企業は8万3978社だったことが分かった。全体の無借金率は24.4%で、4社に1社が金融機関等からの借入金がゼロだった。地区別の無借金企業数は、最多が「関東」の2万5713社(構成比30.6%)で、3割を占め、「九州」が1万3410社(同15.9%)、「近畿」1万1998社(同14.2%)、「中部」8425社(同10.0%)と続き、最少は「北陸」の2691社(同3.2%)だった。

 各地区の企業数(保有財務データ企業)を母数として算出した無借金率は、トップが「九州」の28.0%。以下、「四国」27.9%、「中国」25.9%、「近畿」25.3%など、西日本地区が上位に並び「西高東低」の実態が浮かび上がった。一方、無借金率が最も低かったのは「中部」の21.0%だった。また、都道府県別の無借金企業は、最多が「東京都」の1万82社(構成比12.0%)。2位の「大阪府」5411社(同6.4%)の約2倍に達した。

 無借金企業の産業別は、最多が「サービス業他」で3万8537社(構成比45.8%)。次いで、「建設業」が2万7554社(同32.8%)で、上位2産業で全体の約8割(同78.7%)を占めた。無借金率は、「サービス業他」が54.8%でトップとなり、医療機関などが比率を押し上げた。次いで、「金融・保険業」(37.6%)、「情報通信業」(29.2%)までが無借金率20%を超え、第3次産業が高い傾向がみられた。

 産業を細分化した業種別は、最多が「一般診療所」で1万9985社(構成比23.8%)とダントツ。一般診療所はクリニックなどの無床診療所や小規模の入院施設がある開業医が中心。安定した収益構造を背景に、設備の大半をリース導入し多額の設備投資に借入金を必要としないことが多い。また、3位の「歯科診療所」(6205社)、4位の病院(3836社)など、医療機関が上位に並んだ。

 無借金企業の損益別(直近決算)は「黒字」が77.0%と約8割を占め、「赤字」は22.9%と2割にとどまった。国税庁が2019年2月に公表した「国税庁統計法人税表(2017年度)」によると、全国の普通法人271万6818社のうち、赤字法人(欠損企業)は181万977社で、赤字法人率は66.6%にのぼる。堅実な利益体質が強固な財務体質につながり、無借金経営を維持する構図がみてとれる。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190911_03.html