17年度国内パン市場規模は1.4%増の1兆5582億円

 矢野経済研究所がこのほど発表した「国内のパン市場に関する調査」結果によると、2017年度の国内パン市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比1.4%増の1兆5582億円となった。2016年度の伸長率は同1.8%増で、ここ数年プラス成長が続いている。2016年度以降、高級食パンや大手ホールセールメーカーブランド食パンの商品リニューアル等、市場を牽引する商材の存在感が増したことがパン市場を後押しした。

 ここ数年、使用材料や食感、食味に徹底的に拘った「高級食パン」専門店が、東京や大阪、そして地方の中核都市に多数出店。「ふんわり」、「もちもち」、「生」、「健康に良い材料」、「キメ細かい」など、高級食パンの商品コンセプトは様々で、使用する材料も国産小麦100%やカナダ産小麦、蜂蜜など様々だ。新規開店から数年経っても毎朝オープン前から行列ができる店もあり、出店空白地域を目指して、現在も新規出店が続いている。

 高級食パンの商品価格は1斤480円、2斤800円、1本1000円などで、大手ホールセールメーカーブランドの一般的な食パン(超熟、本仕込、ロイヤルブレッドなど)が1斤150~200円で販売されるなか、その数倍の価格で販売されている。高級食パンは毎日食べられる価格帯でないこともあり、大手ホールセールメーカーブランドの食パンの市場を脅かす程の規模にはならないと思われる。

 しかし、既にコアなファンを掴んでいることから、仮にここ数年でブームが去ったとしても、根強い「高級食パン」ファン層に支えられ、今後もパン市場の一翼を担うものと考えられる。ただし、「高級食パン」専門店が現在のような新規出店ペースを今後も続けることは難しいとみられる。少子高齢化が進み、生産人口の減少が予測される日本では、パン市場は長期的には縮小傾向が続くと予測する。

 一方、市場拡大要因としては、高品質で高単価なプレミアム商品や、爆発的な大ヒット商品の発売、フランスパンやバラエティブレッドに代表される食事系のパンによる夕食需要増加などが、挙げられる。こういった点を考慮し、数量の微増と単価の増加により、国内のパン市場は今後も微増推移すると見込む。2022年度の国内パン市場規模(メーカー出荷金額ベース)は1兆6245億円になると予測している。