上場企業の外国法人株式保有比率、初の前年同期比減

 東京商工リサーチが発表した「上場企業の外国法人等株式保有比率調査」結果によると、2019年3月期決算の上場企業2085社の外国法人等株式保有比率の中央値は9.54%で、前年同期より0.06ポイント低下した。調査を開始した2010年3月期以降、初めて前年同期を下回った。同調査は東証など全ての証券取引所に株式上場する企業で、3月期決算の2010年から2018年まで9期連続で比較可能な2085社を対象としたもの。

 2012年後半に円高から円安に為替相場がシフトし、ここ数年は円安で業績が好調な企業が増えて2018年3月期は9.60%まで拡大したが、為替相場の値動きも少なく、前年同期に比べて割安感もなくなったことで保有比率も低下したとみている。産業別の外国法人等比率の最高は、「電気・ガス業」の17.58%、以下、「水産・農林・鉱業」17.47%、「金融・保険業」12.79%と続く。最低は「サービス業」の4.96%だった。

 外国法人等比率の最高は、東証2部上場の「価値開発」(本社・東京)で78.21%。2019年3月に第三者割当増資(約19億円)を実施し、前年同期の1.59%から76.62ポイント上昇した。次いで、「東芝」の69.82%(前年同期72.32%)、「シャープ」の67.75%(同69.83%)と大手電気メーカーが続く。これらの企業は、経営再建のための第三者割当増資で保有比率が高まった。

 外国法人等比率が10%未満は1067社(構成比51.1%)で半数を占めた。また、全体の5割の1160社(構成比55.6%、前年同期653社)では、外国法人等比率が低下した。一時は円安による株価の割安感から外国法人等の投資が活発だったが、為替相場の安定から2019年3月期は保有率が低下したようだ。ただ、米中問題などもあり、為替相場の変動によって国内企業への外国法人等の投資がどう影響するか、今後の動向が注目される。

 2013年3月期は、東日本大震災の影響が落ち着き、為替相場が円高から円安にシフトすると、上昇が1337社、低下が736社、横ばいが12社と、上昇が452社増加し、外国法人等が上場企業の株式投資に積極的に動いた。ここ数年は、円安を背景に上場企業の業績は好調で、株価上昇もあって外国法人等の上場企業への投資が増えたが、2019年3月期は為替相場の変動も落ち着き、外国法人等の上場企業への投資は一段落した感がある。

 同調査結果は↓

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190805_01.html