小規模宅地特例の「新たに事業の用に供されたか否か」

 小規模宅地等の特例については、2019年度税制改正では、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等が除外され、2019年4月1日以後に相続・遺贈により取得する宅地等の相続税から適用されている。このほど国税庁が公表した租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱い(法令解釈通達)では、「新たに事業の用に供されたか否かの判定」が明らかにされている。

 改正後の通達によると、新たに事業の用に供されたか否かの判定(措置法第69条の4-20の2)の中で、新たに事業の用に供された宅地等とは、事業(貸付事業を除く)の用以外の用に供されていた宅地等が事業の用に供された場合のその宅地等又は宅地等若しくはその上にある建物等につき「何らの利用がされていない場合」の宅地等が事業の用に供された場合のその宅地等をいうことに留意するとした。

 したがって、例えば、居住の用又は貸付事業の用に供されていた宅地等が事業の用に供された場合のその事業の用に供された部分については、「新たに事業の用に供された宅地等」に該当するが、事業の用に供されていた宅地等が他の事業の用に供された場合のその他の事業の用に供された部分については、これに該当しないことに留意すると説明している。

 また、次に掲げる場合のように、事業に係る建物等が一時的に事業の用に供されていなかったと認められるときには、その建物等に係る宅地等は、「何らの利用がされていない場合」の宅地等に該当しないとした。それは、(1)継続的に事業の用に供されていた建物等につき建替えが行われた場合において、建物等の建替え後速やかに事業の用に供されていたとき(その建替え後の建物等を事業の用以外の用に供していないときに限る)。

 さらに、(2)継続的に事業の用に供されていた建物等が災害により損害を受けたため、その建物等に係る事業を休業した場合において、事業の再開のためその建物等の修繕その他の準備が行われ、事業が再開されていたとき(休業中にその建物等を事業の用以外の用に供していないときに限る)とし、これらの一時的に事業の用に供されていなかったと認められるときには、「何らの利用がされていない場合」の宅地等に該当しないと説明している。