中小の人手不足、現場作業中心に深刻化~信金中金

 信金中央金庫が全国中小企業景気動向調査(6月調査)の中で実施した「中小企業における人手不足の状況と働き方改革への対応についての特別調査」結果(有効回答数1万3862社)によると、人手の状況については、「過剰」が1.9%にとどまったのに対し、「適正」が47.0%、「不足」が51.1%となった。2008年、2012年に行った同様の調査と比較すると、不足の割合が大幅に上昇した。

 具体的に不足している職域については、「現場作業関係」が36.3%と、2008年(16.5%)、2012年(12.0%)に行った調査から急増し、「不足」全体の約7割を占めた。以下、「営業・販売関係」が10.7%、「経理・財務・管理関係」が2.3%で続いた。企業規模別にみると、おおむね規模が大きいほど、現場作業関係を中心に人手不足を訴える声が目立った。業種別では、「建設業」の67.2%が現場作業関係の人手が不足していると回答した。

 今後の女性、高齢者、外国人の活躍推進への考えは、女性については26.1%、高齢者については18.2%、外国人については10.0%が「増やす方針」と回答。「増やす方針」を業種別にみると、女性は、「サービス業」(33.9%)が最多、「建設業」(19.3%)で最少。高齢者は、「製造業」、「サービス業」、「建設業」の3業種で20%を超えた一方、「不動産業」では8.4%にとどまった。外国人は、「製造業」と「建設業」で10%を超えた。

 働き方改革が求めている「時間外労働の上限規制」や「有給休暇取得の義務化」による影響については、「影響を受ける」が44.5%、「影響は受けない」が28.9%、「影響があるかどうかよくわからない」が26.6%。「影響を受ける」企業における、現時点での対応(今後の予定を含む)については、「従業員への処遇・待遇の改善」(13.2%)が最も高く、「勤怠管理の徹底」(10.5%)が続いた。また、「対応できない」は2.8%となった。

 働き方改革に対して現在取り組んでいる、あるいは今後優先的に取り組みたい事項(3つまで複数回答)については、「長時間労働是正(残業規制、有休義務化)」(37.4%)が最も高く、「賃金引上げと労働生産性向上」(29.4%)、「何をやればよいのかわからない」(29.3%)が続いた。2017年に行った同様の調査と比較すると、「長時間労働是正」の比率が12.0ポイント、また、「何をやればよいのかわからない」も3.9ポイント上昇した。

 同特別調査結果は↓

https://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/scb792019M176.pdf