老舗企業の倒産・休廃業・解散、465件で最多更新

 帝国データバンクが発表した「老舗企業の倒産・休廃業・解散動向調査」結果によると、2000~2018年度までの、創業100年以上の老舗企業の倒産・休廃業・解散件数をみると、2018年度は465件(前年度比0.9%増)となった。前年度からの増加幅は縮小したものの、4年連続の増加は2005~08年度と並び最長。2018年度の件数は、過去最多となった2017年度(461件)を上回り、3年連続で2000年度以降の最多を更新した。

 また、2018年度の老舗企業の倒産・休廃業・解散件数は、倒産・休廃業・解散全体における1.48%を占め、同割合は過去最高となった。倒産した老舗企業をみると、2018年度は101件。前年度比27.8%の大幅増加となり、この増加幅は東日本大震災翌年度の2012年度(24.7%増)を超えた。ただし、休廃業・解散となった老舗企業は364件(前年度比4.7%減)となり、5年ぶりに前年度を下回っている。

 2018年度の業種大分類別における倒産・休廃業・解散件数をみると、最多は「小売業」(167件)で、構成比は35.9%を占めた。以下、「製造業」(103件、構成比22.2%)、「卸売業」(95件、同20.4%)の順。さらに、業種細分類別にみると、最多は「呉服・服地小売」の22件。呉服・服地小売が全業種中最多となるのは、2015年度(14件)以来3年ぶりとなったほか、件数では2012年度(21件)を上回り過去最多を更新した。

 「呉服・服地小売」では、固定客の高齢化や消費者の呉服離れなどの要因で市場の縮小が続き、事業継続の見込みが立たないことから廃業する企業が多い。2位は、「ホテル・旅館」と「婦人・子供服小売」の18件。「ホテル・旅館」では、バブル経済期に増築した設備投資負担が重荷となっていたものの、近年は訪日外国人観光客による宿泊客の増加など経営環境が好転したことで、事業再生型の法的整理を目指すケースが多くみられた。

 「婦人・子供服小売」では、2018年度は過去最多件数。地場商店街などに出店していた老舗ブティックなどが、郊外型の大型量販店やアウトレットパークなどが隣接地域に進出したことや、利便性が向上したインターネット通販などで顧客を奪われ、事業が成り立たなくなったケースが多い。このほか、「木造建築工事」(13件)や「時計・眼鏡・光学機械小売」(9件)、「金物卸売」(8件)などが、2000年度以降で最多件数となった。

 なお、業種細分類別における2000~2018年度累計では、「ホテル・旅館」が270件でトップ。以下、「酒小売」の237件、「呉服・服地小売」の232件、「婦人・子供服小売」の206件と続いた。このほか、累計で上位となったのは「酒類卸売」(137件)などの卸売業のほか、「米穀類小売」(112件)、「家具小売」(79件)などのB to C業種が目立つ。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190701.pdf