2018年度アパレル関連企業、「小売」で大型倒産増加

 帝国データバンクが10日に発表した「アパレル関連企業の倒産動向調査」結果によると、2018年度のアパレル関連企業の倒産件数は、前年度比7.7%減の252件となり、3年連続で前年度を下回り、リーマン・ショック以降では最も少ない倒産件数となった。負債総額は前年度比5.7%増の382億9200万円で、2年連続で増加。倒産件数が減少している 一方で、負債総額は増加おり、1件当たりの負債額は増加傾向にある。

 2018年度のアパレル関連企業の倒産を負債規模別にみると、「1億円未満」が186社(構成比73.8%)で最も多く、次いで「1億円以上5億円未満」が51社(同20.2%)だった。引き続き小規模倒産の構成比は高いものの「10億円以上50億円未満」の倒産が9件発生しており、2014年度以来の水準となった。2018年度は、負債10億円以上の倒産が増加したことで、負債総額を押し上げる結果となった。

 業態別の動向をみると、「卸売業」の倒産件数は前年度比20.2%減の103件と前年度に比べて大幅に減少、3年連続で前年度を下回った。負債総額も同32.8%減の181億600万円と大幅に減少した。一方、「小売業」の倒産件数は、同3.5%増の149件と2年連続で増加。負債総額は同117.2%増の201億8600万円と2014年度(164件、221億3300万円)以来4年ぶりに増加に転じた。

 これは、2018年8月に特別清算開始命令を受けた「美津和屋(株)」(愛知県弥富市、負債約23億円)、2019年2月に民事再生法の適用を申請した「(株)マルシヨウ」(大阪府箕面市、負債約28 億円)、3月に民事再生法の適用を申請した「(株)ロン・都」(長野市、負債約34億9200万円)など負債20億円を超える倒産が相次いだことで、負債総額が大幅に増加したことによるもの。

 小売業者は、新規出店に伴う借入負担が重い中で、経営環境の急激な変化により店舗売上が減少して倒産に至るケースが目につく。実店舗を中心に展開する小売業態にとって厳しい経営環境の変化により、「小売」で比較的大きな倒産が増えたとみられる。今期に入っても、「(株)リファクトリィ」(東京都中央区、5月民事再生法、負債60億1300万円)のような「小売」の大型倒産も発生しており、引き続きその動向に注目する必要がある。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190603.pdf