日本商工会議所が各地商工会議所職員による訪問調査で3月から4月に実施した「人手不足への対応に関する調査」結果(有効回答数2775社)によると、人員が「不足している」と回答した企業は、2018年度調査結果(65.0%)と比べて1.4ポイント上昇の66.4%と、 深刻な人手不足の状況が続いている。業種別でみると、「介護・看護」が、79.2%と2018年度から11.2ポイント上昇し、人手不足感が急激に高まっている。
また、「宿泊・ 飲食業」(81.8%)及び「運輸業」(78.2%)における人手不足企業の割合が8割程度で高止まりしており、深刻な状況にある。従業員規模別でみると、「5人以下」の44.1%から「101人以上」の77.3%まで、従業員規模が大きいほど、人員が「不足している」と回答した企業の割合が高くなっている。全国9ブロック別でみると、2年連続で「北海道」の人手不足企業の割合が最も高い(2018年73.2%、2019年74.4%)。
数年度(3年程度)の人員充足の見通しについては、52.1%と半数以上の企業が「不足感が増す」と回答。現在、人員が「不足している」と回答した企業に限ると、人員充足の見通しについて、62.4%の企業が「不足感が増す」と回答しており、人手不足のさらなる深刻化が懸念される。求める人材(複数回答)としては、「一定の経験を有した若手社員」 が63.0%と最も多く 、次いで「即戦力となる中堅層・専門家」(61.2%)が続いている。
人員が充足できない理由を複数回答でカテゴリー別に聞いた最多の回答は、「そもそも採用できない」では、自社の「立地地域に求めている人材がいない(人口減少や大都市圏への流出等でそもそも人がいない)」が60.3%。「自社の処遇や制度、魅力」では、自社が属する「産業・職種に魅力がない」が44.6%。「ミスマッチ、定着しない等」では、入社した人材が「ミスマッチを感じて退職してしまう」が39.4%でそれぞれ最多だった。
人手不足により人員の充足が難しいなか、事業活動を維持するために講じている取組み(複数回答)は、「既存の業務を 効率化する」が43.4%と最も多く 、「モチベーションを上げる処遇体系」(38.8%)が続いている。一方で、「経営者や管理職が作業を補う」が37.4%、「残業や休日出勤等で対応」が35.8%である状況を踏まえると、深刻な人手不足の中で、限られた人員で何とかやり繰りして事業活動を維持している状況がうかがえる。
同調査結果の概要は↓
https://www.jcci.or.jp/20190606hitodebusokuchosa-kekkagaiyo.pdf